スタッフコラム

日本卵子学会【培養部】

今回のコラムは培養部が担当します。院長のブログにありましたように神戸国際会議場で開催された日本卵子学会に参加してきました。今回の発表では水素分子処理による精子の運動性改善に関する演題が2つ報告されていました。
水素は強力な還元作用を持つ物質として知られています。近年この作用を利用して心肺停止させたラットに、蘇生後に2%の水素ガス吸入させることで、脳や心臓に起こる酸化障害を著しく抑制する効果があることが報告され、脳梗塞や心筋梗塞の患者さんの後遺症を改善する可能性があることが報告されています。
今回の発表は、活性酸素にさらすことによる酸化障害(酸化ストレス)で生じるマウスの精子の前進運動性の低下が、水素ガスで処理することにより抑制されるという報告と、ヒト不動精子に水素ガス処置すると運動性が回復するという内容で、動物を用いた基礎的知見とヒトで実験により臨床への応用の可能性を示したものです。
いずれの報告も水素処理が、酸化ストレスを受けた精子の運動機能改善に効果があるとするもので、水素の還元作用を利用したものです。
今回の報告はすぐに臨床に応用できるものではありませんが、細胞が受けた酸化ストレスを体外での処理で改善できるという点で画期的な内容です。
今後この研究が発展していけば、精子のみならず、胚培養における酸化ストレスを除去することにより胚の発育が大幅に改善される可能性があると思います。
今後とも臨床に取り入れることが可能な情報を入手し、皆様のお役にたてるように生かしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。