不妊症・男性不妊・人工授精・体外受精・胚移植・AID・精子バンク等の不妊治療・不妊専門クリニック。

卵子(未受精卵)凍結

検査・治療

卵子(未受精卵)凍結とは

卵巣から採取した卵子を凍結保存することを卵子凍結と言います。卵子は、精子と受精させる前の未受精卵であることから未受精卵凍結とも言います。

卵子凍結から妊娠までの流れ

Chapter1 卵子を採取して凍結保存するまで

STEP1排卵誘発生理開始3 日目~10 日目頃まで

卵子を複数育てるために月経2・3日目から排卵誘発剤を使用します。排卵誘発剤は内服薬・注射・点鼻薬と複数あります。採取したい卵子の数や患者様のホルモン値によって医師と相談の上で誘発方法が決まります。STEP1の通院回数は、自己注射練習をした方は2~3回、自己注射ができない方は4~5回が平均です。

STEP2LH サージ誘起生理開始9日目~13日目

卵子を成熟させるために、採卵の2日前の夜に自分で注射・点鼻薬をします。

STEP3採卵&卵子凍結生理開始11日目~14日目頃

午前8時30分に来院して採卵を実施。麻酔をかけて行い、採卵時間は5~10分です(無麻酔希望も可能)採卵が終わり麻酔から覚めた頃、培養士が入院個室に伺います。採取した卵子の状態についてご説明し、凍結する卵子の数を最終決定します。

卵子凍結

超急速凍結法を用いて卵子を凍結します。お子様を授かるタイミングになるまで、1年毎に凍結卵子の更新の有無を確認いたします。

Chapter2 将来、パートナー決定後に行う受精・培養・胚移植

STEP4受精将来パートナ決定後

将来パートナーが決定し、お子様を授かるタイミングになりましたらChapter2がはじまります。凍結卵子を融解し、パートナーの精子と受精させます。

STEP5培養受精から3〜5日間

受精卵を3~5日間培養します。妊娠率が最も高い胚盤胞まで培養できることを目指します。

STEP6移植受精から3~5日後

受精卵の培養が完了したら、その受精卵を子宮に移植します。移植は痛みを伴わず5~10分で終わるため無麻酔で行います。

STEP7妊娠判定移植から9~12日後

採血にて、妊娠すると分泌するhCGホルモン値を測定して妊娠を判定します。

卵子凍結の目的とメリット

若い頃の卵子を凍結保存しておくことで、妊娠しやすい期間を引き延ばすことができます。下のグラフは2018年日本産科婦人科学会の全国妊娠率です。女性は年齢の上昇に応じて妊娠率が低下し、逆に流産率は上昇します。しかし、若い頃の卵子を凍結保存しておくことで、卵子を凍結した年齢の妊娠率と流産率を維持することが期待できます。

42歳で体外受精をする場合

42歳で卵子を取り出し体外受精をした場合、妊娠率は約20%、流産率は約44%です。卵子の老化は34歳ごろから急激に進むため42歳時点の老化の進んだ卵子を移植しても高い妊娠率は望めず流産率は高くなってしまいます。

34歳で凍結した卵子を使って42歳で体外受精をする場合

42歳で体外受精をしたとしても使用する卵子が34歳時点の老化が進む前に凍結保存したものであれば、母体年齢ではなく、卵子を凍結したときの年齢(34歳)相当の妊娠率約40%、流産率約18%を期待できます。

※ 妊娠率は日本産婦人科学会ARTデータブックより

年齢を重ねると妊娠が難しくなる理由

どうして女性は年齢を重ねると妊娠が難しくなるのでしょうか。その理由は大きく2つあります。

① 卵子の数には限りがあり年齢とともに減っていくから

② 年齢と共に卵子自体も老化するため、細胞分裂異常が起こりやすくなることが原因で健康な赤ちゃんの誕生に繋がりにくくなるから

若い女性の卵子は卵子自体も若いので、卵子の細胞分裂が正常に行われる確率が高い。細胞分裂が正常に行われた卵子は23本の染色体を持っている。これに23本の染色体を持つ精子が受精し、46本の受精卵ができる。この受精卵は妊娠し健康な赤ちゃんの誕生に繋がる。

一方、年齢を重ねた女性の卵子は卵子自体が老化しているため、卵子の細胞分裂異常が起こる確率が高い。細胞分裂異常が起こった卵子は23本以外の染色体を持っている。これに23本の染色体を持つ精子が受精すると46本ではない(43、44、45、47、48、49本など)受精卵ができます。

染色体本数が46本ではない受精卵は、受精後に発育が停止したり、妊娠に至ったとしても流産したり、あるいは出産に至るとダウン症などで知られる先天性の染色体異常を有した児に繋がります。

卵子凍結ができる年齢

当院では、20歳から44歳の女性の卵子凍結を行っています。卵子凍結の有効性や必要性から考える適切な年齢については次の通りです。凍結卵子の最長保存期間は45歳の誕生日の前日までです。

有効性から考えると34歳まで

卵子の質の低下が少ない20代~34歳までの卵子を凍結保存しておくことは将来の妊娠に有効です。

必要性から考えると36歳前後

研究により、子供1人を90%以上の確率で希望する場合、36歳までに体外受精を開始すれば間に合うという結果がでています(出展Habbeman et al.HumReprod.30;2215-21 2015)この点から考えた場合、36歳までは自然な出会いに身を任せておき、36歳になった時に結婚(事実婚)の予定がなさそうであれば卵子凍結を実施するという考え方もあります。ただし、36歳で卵子凍結をする場合には、卵子の質の低下によるデメリットを卵子数で補うために多めの卵子が必要になり費用に影響します。

それぞれの事情による39歳以上

卵子凍結の目的が将来の妊娠だけであれば39歳以上の女性の卵子凍結保存はお薦めしません。その理由はかかるコスト(時間と費用)と期待できる結果のバランスが悪いためです。しかし、皆様それぞれに思い描く人生は違います。卵子凍結という医療が自分らしい人生に繋げる方法の1つであるならば、よく相談した上で検討していきましょう。

卵子凍結の適応と対象者

社会的適応

加齢などにより生殖能力が衰えてきてしまい子供ができない状態になる前に凍結する。

対象者

卵子凍結を希望する健康な女性。

医学的適応

未婚の悪性腫瘍などに罹患したが方がその治療を行うことにより卵巣機能が低下する可能性がある場合に妊孕性を温存するために凍結する。

対象者

悪性腫瘍などの治療を行う主治医の許可がある女性。

卵子凍結の3つのデメリット

卵子凍結という方法は、体外受精のプロセスの一部なので、体外受精と同等のリスクがあります。例えば、排卵誘発剤を使用することで卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といって卵巣が腫れてしまうことや採卵による腹腔内出血などがあります。ただ、これらはある程度予防できるため発生頻度は高くありません。卵子凍結のデメリットで大きいのは次の3つです。

デメリット1卵子は凍結することで質が低下する

卵子は受精卵に比べて水分量が多いため凍結時の水分膨張により組織破壊が起こり、融解時の卵子の質の低下に繋がります。卵子の質の低下はその後の受精や受精卵の発育に悪影響します。受精と受精卵の発育とは上の「卵子凍結から妊娠までの流れ」の説明イラストSTEP4とSTEP5の部分です。STEP5のプロセスを「凍結していない卵子」と「凍結した卵子」で比較すると、凍結した卵子の成績は約半分になります。しかし、このデメリットは卵子を多く凍結保存しておくことで最小限にできます。

デメリット2将来の妊娠を保証できないこと

多くの方のデータを元に、将来の妊娠成績をシミュレーションした上で卵子凍結を行いますが、これらはあくまでも確率論です。個体差が予想以上であったり、将来のパートナーが男性不妊であったりなど、今はわからないことがあります。そのため、卵子凍結は将来の妊娠を保証するものではないことをご理解ください。将来の妊娠の可能性を高めるための方法です。

デメリット3費用がかかる

同じ年齢で体外受精と卵子凍結をした場合、体外受精は妊娠への最短ルートをとれますが、卵子凍結は遠回りすることになります。この遠回り分だけ費用がかかります。

大事なことはデメリットをしっかり理解して事前に対策を立てておくこと

卵子凍結は、凍結して終わりではありません。むしろはじまりにすぎないのです。将来、卵子を融解していざ授精させる時のことを事前にシミュレーションしておきましょう。卵子(未受精卵)説明会では、個別のシミュレーションを行い、「期待できる妊娠率」「卵子凍結から妊娠まで必要な費用」についてしっかり検討します。

凍結卵子の妊娠成績

STEP3【採卵&卵子凍結】

採卵数は「①AMH値」×「②年齢(卵巣反応力)」×「③排卵誘発量」でかわります。以下は、③が2400IU前後の場合の平均採卵数です。

AMH 1.0未満 1.0以上
2.0未満
2.0以上
6.0未満
6以上
~31歳 8.4  13.4  29.0 
32~34歳 4.5  7.8  11.6  16.0 
35~37歳 4.5  7.6  10.9  15.0 
38~40歳 4.3  6.8  9.6  14.3 
41~43歳 3.4  5.5  9.3 
44歳~ 3.4  4.5  7.2 

STEP4【受精】STEP5【培養】

卵子凍結のデメリットである凍結による卵子の質の低下は、受精率と胚盤胞率(受精後5日間順調に発育する確率)に最も影響します。

採卵時
年齢
凍結卵子
融解後
生存率
受精率 胚盤胞率*
34歳まで 95.60% 98.60% 48.00%
35~37歳 92.90% 98.50% 33.30%
38~40歳 82.40% 72.70% 28.60%
41歳以上  78.50% 61.50% 25.00%

*新鮮卵子の1/3~2/3の確率

STEP6【移植】

受精卵が胚盤胞(受精後5日間順調に発育した状態)まで発育すれば、その移植当たりの妊娠率は新鮮卵子由来でも凍結卵子由来でも有意差はありません。移植する時の母体年齢による妊娠の影響は最小限です。移植はホルモン補充にてホルモンを管理して行います。

採卵時年齢 妊娠率
34歳まで 63.60%
35~37歳 51.80%
38~40歳 42.60%
41歳以上  32.60%

卵子凍結の費用

卵子凍結まで

AMH7,700円
FSH2,420円
LH2,420円
E22,420円
採卵手術卵0個49,500円
採卵手術卵1-2個140,250円
採卵手術卵3-5個176,000円
採卵手術卵6-12個202,400円
卵子凍結1個(初回)22,000円

卵子凍結更新

卵子1個/1年11,000円

受精・培養・胚移植

顕微授精(ICSI)卵1-5個154,000円
顕微授精(ICSI)卵6個以上209,000円
PIEZO-ICSI29,700円
タイムラプス培養27,500円
タイムラプス培養オプション33,000円
培養3日目まで 受精卵1-5個50,600円
培養3日目まで 受精卵6個以上56,650円
培養6日目まで 3日目まで5個以下、4日以降5個以下69,300円
培養6日目まで 3日目まで6個以上、4日以降5個以下75,900円
培養6日目まで 3日目まで6個以上、4日以降6個以上77,550円
GMCSF-SEET法22,000円
新鮮胚ET44,000円
hCG採血4,125円

卵子凍結では、これらの費用が1回ではなく複数回かかります。何歳の方が何個の卵子凍結保存するのかによって変わるため、詳しくは説明会のワークでシミュレーションをしましょう。

卵子凍結から妊娠までの費用例

CASE

  • 34歳の女性が卵子を8個凍結保存
  • 40歳まで6年間凍結保存。
  • 40歳で結婚し精子と受精させた受精卵を1回目胚移植するも妊娠せず。
  • 40歳で2回目の受精を行い、2回目の胚移植してご妊娠。
  • 41歳ご出産。
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助成金制度

卵子凍結自体や、将来卵子を融解し授精させて胚移植する際には、自治体によっては不妊治療費助成制度の対象となります。お住まいの都道府県と市区町村の2か所に「卵子を凍結すること」と「将来それを用いた顕微授精を行うこと」について助成金の有無をお問い合わせください。

今後の流れ

1.卵子凍結説明会・相談会に参加

卵子凍結のリアルをわかりやすく説明します。また、各自のAMH結果に応じたシミュレーションを行い、「期待できる妊娠率」「卵子凍結から妊娠まで必要な費用」について把握できます。

2.初診。必要な検査を実施

医師の初診を受けていただきます。採卵を行うために必要な検査をします。感染症・甲状腺検査15,400円(税込)と初回採卵前検査8,800円(税込)を実施します。なお、1年以内に他の医療施設で実施済みの場合は省略いたしますので検査結果をご持参ください。

3.卵子凍結のための採卵周期を開始

卵子凍結をしたい周期の月経がきたら、月経2日目か3日目に【採卵周期2・3日目】という項目のご予約をお取りください。この周期で卵子を採取し凍結を行います。

4.凍結卵子の更新

卵子の凍結期限は1年です。毎年卵子の凍結を更新するか、破棄するかどちらかのお手続きが必要です。

5.パートナーが決まったらご連絡を

ご結婚(事実婚)されましたら、その先の流れについてご説明いたしますのでクリニックまでお電話ください。

  • 夫婦で体外受精説明会に参加し、この先の治療について理解していただく
  • 精子検査を行う
  • 培養士相談にて1回に受精させる卵子の個数について相談する

6.精子と凍結卵子を授精・胚移植

妻は胚移植周期に入ります。そのスケジュールに合わせて凍結卵子を融解し精子と顕微授精をします。

受精後、受精卵が発育したところでそれを子宮に移植します。移植から約10日後に妊娠判定を行います。

ご不明な点がありましたらお問い合わせください