Treatment 人工授精

人工授精とは

人工授精(AIH)は、排卵のタイミングに合わせて、①精子を採取し、②洗浄・濃縮して運動性のある精子を集めて、③精子を子宮に注入する治療方法です。性交の代わりに精子を子宮内へ届け、精子と卵子が出会う確率を高めます。

治療名に「授精」とつきますが、体外で受精させる方法ではなく、受精は自然妊娠と同様に卵管内で起こり、身体的・経済的な負担が比較的少ない治療です。

人工授精が向いているケース

  • 精子の数や運動率がやや低く、自然妊娠が難しい
  • 勃起障害(ED)、セックスレス、出張などにより排卵日に性交ができない
  • 精子検査に問題はないものの、タイミング法で妊娠に至らず、体外受精はまだ希望していない
  • 女性が37歳前後まで(目安)

人工授精が向いていないケース

  • 精子の数や運動率が著しく低く、子宮内に注入しても卵管まで到達しにくい
  • 精子の数や運動率が良好で、人工授精を行ってもタイミング法と差が生じにくい
  • 女性の年齢が高く、卵管内での受精を待つより、早期に体外受精で受精を確認したほうが妊娠につながりやすい
  • 卵管に閉塞や強い癒着があり、卵管での受精が期待できない

人工授精の妊娠率

人工授精の妊娠率は女性の年齢によって異なりますが、1回あたりおおよそ5~15%程度です。妊娠に至った方では、1回目で妊娠するケースが最も多く、妊娠までに要した回数の平均は2.7回でした。

妊娠実績2023-24年【タイミング法・人工授精】

人工授精での妊娠に必要な5つのこと

人工授精では、実施前に①と②については検査を行った上で治療を進めます。一方で、③④⑤に関わる卵管の働きそのものは、現在の検査では確認することができません。そのため、人工授精を3~6回行っても妊娠に至らない場合、こうした卵管機能が関与している可能性があります。

人工授精の流れ・費用

  1. 時期
    生理開始10-12日目頃(28-30周期の場合)
    概要

    超音波検査

    • 超音波検査で卵胞の大きさや子宮内膜の厚さを確認し、排卵日を予測
    • 必要に応じて、血液検査を実施
    • 卵胞がまだ小さい場合は数日後に再度ご来院ください
    • 排卵日の予測ができたら、人工授精の実施日を決定し精子の準備方法を確認

     

    排卵誘発剤の相談がある場合

    • 排卵しにくい場合などは、生理開始2-5日目頃に、排卵誘発剤のご相談をする場合がある
    • 人工授精後の黄体補充についても必要に応じて検討
  2. 時期
    生理開始12日目から14日目頃(排卵日前日頃)
    概要

    精子の提出

    • 精子は自宅で採取して持参するか、院内で採取
    • ご主人が不在の場合はあらかじめ凍結した精子を使用
    • 採取した精子は顕微鏡で運動精子数を確認し、遠心分離器を用いて洗浄・濃縮する

     

    女性側の流れ

    • 必要な場合に限り、人工授精当日に改めて超音波検査を実施
    • 人工授精専用の部屋で人工授精を実施
    オプショナル治療
  3. 時期
    妊娠検査薬が陽性の場合
    概要

    • 予定日を過ぎても月経が来ない場合は、市販の妊娠検査薬で妊娠判定を行ってください
    • 妊娠検査薬が陽性の場合はご来院いただき、血液検査でhCGホルモンを測定し、妊娠の成立(着床)を確認
    • 妊娠週数に応じて、超音波検査も実施

オプショナル治療

  • ZyMōt(ザイモート)

    適用治療 :STEP3人工授精当日

    • 先進医療
    • 自由診療

よくあるご質問

回答

人工授精で妊娠に至る場合、平均して約3回までに妊娠しています。そのため、それ以降は妊娠を急ぐかどうかなど、ご夫婦の希望を踏まえて、体外受精への切り替えを検討しましょう。

回答

人工授精の妊娠率は、年齢や不妊原因により異なりますが、1回あたりは高くありません。平均して約3回で妊娠するケースが多く、結果が出ない場合は体外受精を検討します。詳しくは、妊娠実績の人工授精をご確認ください。

回答

人工授精では、精子と卵子が卵管内で受精し、受精卵が子宮まで運ばれる機能が必要になります。一方、体外受精では、体外で受精させた受精卵を確実に子宮に戻すことができるため、このプロセスがショートカットされ、妊娠率を高めることができます。

回答

タイミング法は、排卵日に合わせて性交を行い、膣内に射精された精子が自力で子宮内へ進む方法です。一方、人工授精では精子を直接子宮内に注入するため、タイミング法に比べてショートカットされ、精子が卵管へ到達しやすくなります。なお、その後に卵管内で受精し妊娠に至る流れは、どちらも同じです。

回答

はい。一定の条件を満たす場合、保険診療の対象となります。

回答

人工授精そのものに回数制限はありませんが、保険診療には年齢や治療内容に応じた条件があります。

回答

月経10~12日目頃(月経開始日を1日目として数えます)に受診し、超音波検査で卵胞の発育を確認して排卵日を予測します。排卵日の前日または前々日に人工授精を行います。月経周期が安定しており、排卵日の特定が1回の診察で可能な場合は、1周期の来院回数は2回程度です。周期にばらつきがある場合や、排卵誘発剤などの薬剤を使用する場合は、追加で1~2回の来院が必要となることがあります。人工授精の流れ・費用については、こちらをご覧ください。

回答

可能です。精子を事前に凍結保存しておくことで、妻の排卵日に合わせて人工授精を行うことができます。

回答

はい、可能です。ご主人が精子を採取できる場合は、人工授精を行うことができます。

回答

監修医師

宮﨑 薫みやざき かおる

はらメディカルクリニック理事長・院長

  • 医学博士
  • 日本参加婦人科学会認定 産婦人科専門医・指導医
  • 日本生殖医学会認定 生殖医療専門医・指導医
  • 日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医

2004年慶應義塾大学医学部卒業、2013年慶應義塾大学大学院医学研究科修了。2013年4月東京歯科大学市川総合病院産婦人科助教 2014年4月慶應義塾大学産婦人科助教。2017年10月 USMLE(米国医師国家試験)Step1–3 合格。2017年10月ノースウェスタン大学産婦人科(米国シカゴ)研究助教授。2018年10月荻窪病院産婦人科勤務。2020年5月はらメディカルクリニック院長就任。2020年7月医療法人社団暁慶会理事長就任。

医師・スタッフ紹介

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