Treatment 着床不全・PGT-A / SR(着床前診断)

着床不全とは

良好な胚盤胞(4BB以上が目安)を複数回移植しているにもかかわらず、妊娠に至らない状態を「反復着床不全(RIF)といいます。また、妊娠までは至るものの、流産や死産を2回以上繰り返す状態を「不育症」といいます。

原因の特定は難しい

胚移植がうまくいかないと、「子宮(母体)に問題があるのでは」「着床不全では」と不安になるかもしれません。しかし、着床や妊娠のメカニズムには、いまだ解明されていない部分が多くあります。そのため、原因を特定できる検査や、確実な治療法があるわけではありません。

胚の染色体異常という可能性

胚移植が不成功となる原因の多くは、胚の染色体異常であると報告されています。見た目が良好な胚盤胞でも一定の頻度で染色体異常を含んでおり、女性の年齢が上がるほどその頻度は高くなります。そのため、移植が数回うまくいかなかった場合でも、「偶然、染色体異常の胚を移植していた(移植し続けた)」可能性があります。

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母体側の要因という可能性

胚移植が不成功となる場合、子宮を含めた母体側の要因が関与している可能性もあります。子宮内膜の炎症、ポリープなどの子宮腔内病変、子宮腺筋症、抗リン脂質抗体症候群、夫婦染色体異常、免疫異常、子宮内膜と胚の受容期のずれなど、多くの要因が考えられます。

一方で、Ata Bらの研究では、正常胚(染色体異数性のない胚)を連続移植した結果、3回目まで移植した場合の累積着床率は95.2%、累積生児出産率は92.6%であることが示されました。このことから、母体側だけを要因とする着床不全はとても少ないことが示唆されています。

Ata B et al. Fertil Steril. 2021 Nov;116(5):1320-1327. doi: 10.1016/j.fertnstert.2021.06.045.

着床不全の検査は何回目から?

着床不全の明確な回数基準はありません。参考として、ESHRE(欧州生殖医学会)のガイドラインでは、累積妊娠率が60%を超える胚移植回数を実施しても妊娠に至らない場合を一つの目安としています。

当院での目安は?

当院の胚移植1~3回の累積妊娠率(2023-24年)は次の通りのため、ご年齢や治療歴にもよるのですが、胚移植2~3回実施しても妊娠に至らない場合に、着床不全の検査について検討することが多いです。また、保険診療の回数制限や、先進医療の助成制度も治療の進め方に影響します。特に東京都のように先進医療助成が手厚い地域では、制度の活用可能期間も踏まえて検討します。

オプショナル治療

ここでは、着床不全に関連する検査と、その結果に応じた治療についてご紹介しています。すべての方に必要なものではなく、これまでの治療経過やご年齢、胚の状況などを踏まえて、医師と相談しながら検討していきます。

  • 子宮鏡検査

    • 保険適用
    • 自由診療
  • EMMA・ALICE

    • 先進医療
    • 自由診療
  • CD138+膣炎検査

    • 自由診療
  • 基本:着床不全一次スクリーニングセット検査

    • 自由診療
  • 抗PE抗体IgG/抗PE抗体IgM検査(二次スクリーニング)

    • 自由診療
  • Th1/Th2細胞比検査(二次スクリーニング)

    • 自由診療
  • ネオセルフ抗体検査(二次スクリーニング)

    • 先進医療
    • 自由診療
  • ERA(子宮内膜受容能検査)

    • 先進医療
    • 自由診療
  • 染色体検査(血液検査)

    • 保険適用
    • 自由診療

保険診療:9,310円 自由診療:33,000円(税込) ※上記は一人当たりの費用

  • PGT-A/SR(着床前診断)

    • 自由診療

よくあるご質問

回答

良好な胚を複数回移植しても妊娠に至らない状態を着床不全といい、妊娠後に流産を繰り返す場合は不育症が関与することがあります。

回答

子宮内環境や着床に影響する要因を調べる検査を行います。詳しくはこちらをご覧ください。

回答

子宮鏡検査を除き、多くの検査は自由診療となります。なお、流産を繰り返す場合には、夫婦の染色体検査が保険適用となることがあります。また、不育症と診断された場合は、自治体の助成制度が利用できることがあります。

回答

当院で体外受精を行っていない場合は、検査の必要性を医学的に判断できず、また検査結果を胚移植などの治療へ反映できないため、着床不全・不育症の検査のみの実施は行っていません。

回答

当院で体外受精を行っても妊娠や出産に至らない場合に、医師が必要性を検討したうえでご提案します。ご不安な点がある場合は、診察時にご相談ください。

当院で体外受精を行っても妊娠や出産に至らない場合に、医師が必要性を検討したうえでご提案します。ご不安な点がある場合は、診察時にご相談ください。

回答

いいえ。PGT-A/SRは、日本産科婦人科学会の指針に基づき、適応や条件を満たす場合にのみ実施します。詳しくはこちらをご覧ください。

回答

必ずしも妊娠率が上がるとは限りません。年齢や胚の数、これまでの治療経過によって、PGT-Aの有効性は異なります。また、PGT-Aでは胚から細胞を採取するため、胚への影響が生じる可能性があります。検査は将来赤ちゃんになる細胞ではなく胎盤になる細胞を調べるため、結果には限界があります。当院通院中の方は、「遺伝外来」「遺伝カウンセリング」を予約し、専門スタッフと相談しましょう。

回答

ご夫婦のいずれかに染色体構造異常がある場合に行う検査で、構造異常のない胚を選択するために実施します。

回答

検討の流れをまとめた資料をご用意しています。遺伝専門医や遺伝カウンセラーへの相談も可能です。

回答

PGT-A/SRを含めた自由診療の体外受精全体の費用は内容により異なります。こちらの資料の4枚目をご覧ください