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不妊治療中のサプリメント|何を飲むべきか医師が解説

不妊治療中のサプリメント

「不妊治療中にサプリメントを飲んだほうがいいと聞いたけど、何を選べばいい?」「ドラッグストアで売っている葉酸サプリで大丈夫?」「DHEAやメラトニンはどこで買えるの?」

サプリメントに関する疑問は、不妊治療中の患者さまから最も多くいただく質問のひとつです。インターネットで調べると情報があふれていて、何が正しいのかわからなくなりますよね。

大切なことをお伝えします。不妊治療中のサプリメントは、「みんなが飲むべきもの」ではありません。検査結果をもとに、本当に必要な方に必要なものをご案内することが、当院の方針です。

この記事では、不妊治療中のサプリメントについて種類・根拠・注意点をわかりやすく解説します。

はらメディカルクリニックのサプリメントの考え方

当院では、サプリメントを「全員に一律に勧めるもの」とは考えていません。不要な摂取や過剰摂取を避けるために検査を行い、その結果に基づいてご案内しています。

対象

サプリメント

判断の根拠

妊活中の女性

ビタミンD・亜鉛・葉酸

初診時に血液検査を実施し結果に応じて指導

AMH1未満の方

DHEA

AMH検査値・医師の判断

体外受精中の方(希望者)

レスベラトロール・メラトニン

過去の胚盤胞率が低いなどの場合

精子DNA断片化率が高い男性

SOサポート

DFI(DNA断片化指数)検査結果

「とりあえず飲んでおけばいい」ではなく、「あなたに本当に必要かどうかを確認してから」がスタート地点です。現在すでにサプリメントを服用中の方は、初診時に必ず医師にお伝えください。

【妊活中の女性】基本の3つ:ビタミンD・亜鉛・葉酸

妊娠を計画するすべての女性に対して、当院では初診時にビタミンD・亜鉛・ホモシステイン(葉酸の代謝状態)の3項目を検査し、基準値を下回っている場合にサプリメントをご案内しています。

ビタミンD|着床率・妊娠率・出産率に関連

項目

内容

当院基準値

26pg/ml以上(検査費用:4,950円)

ビタミンDとは

カルシウムのバランスを整え骨の健康を保つ脂溶性ビタミン。紫外線を浴びることで皮膚でも生成される

妊娠との関係

ビタミンDの酵素と受容体が子宮内膜でも発見されており、受精卵の着床に重要な役割を果たすと考えられている。充足群と未充足群の比較で、着床率・妊娠率・出産率の向上との関連が確認されている(Reprod Health. 2019;16:106.)

不足していた場合

ビタミンD単体のサプリメントで補充(当院取扱い:BABY&ME 1,420円/1日1カプセル・1,000IU配合)

日本人はビタミンD不足の方が多く、特に日光に当たる機会が少ない方・デスクワーク中心の方はご注意ください。当院では検査で不足が確認された場合のみ補充をご案内しています。

亜鉛|卵子の質・精子の運動率に関与

項目

内容

当院基準値

80〜130μg/dl(検査費用:1,100円)

亜鉛とは

ホルモンの合成・分泌調整・DNA合成・免疫反応の調整に作用する必須栄養素。体内で作ることができないため食事・サプリからの補充が必要

女性への効果

血中亜鉛濃度が低いグループは妊娠までの時間が長くなる傾向(Nutrients 2019;11:1609)。体外受精の卵胞液中の亜鉛濃度が高いほど受精率・分割率が良好(Int J Clin Exp Med 2017;10:3547)

男性への効果

亜鉛欠乏男性は精液量と前進運動率が低く、亜鉛濃度が高いほど精子運動率が良好になる傾向(日本泌尿器科学会 2019年発表)

不足していた場合・男性不妊

亜鉛サプリメントで補充(当院取扱い:BABY&ME 2,292円/1日1カプセル・亜鉛15mg+ビタミンC20mg配合)

亜鉛は女性だけでなく男性にとっても重要です。パートナーの方も、精液検査の結果次第では亜鉛サプリメントをご案内することがあります。

葉酸(ホモシステイン検査)|神経管閉鎖障害予防・生児獲得率向上

当院では「血中葉酸濃度」ではなく「ホモシステイン値」で葉酸の代謝状態を評価しています。ホモシステインは葉酸が体内で適切に機能しているかを包括的に評価でき、血中葉酸濃度の測定より実用的で信頼性が高いためです。

項目

内容

当院基準値

ホモシステイン:6.3〜8.9nmol/ml(検査費用:2,528円)

葉酸とは

水溶性ビタミンB群の一種。細胞増殖に必要なDNA合成に関与

胎児との関係

葉酸不足は胎児の神経管閉鎖障害リスクを高める。厚生労働省は妊娠を計画している女性に食事以外のサプリメント摂取を継続的に推奨

妊娠との関係

葉酸・ビタミンB12が高い群で生児獲得率が高い(Am J Clin Nutr 2015;102:943)。サプリからの葉酸摂取量は良好な卵巣予備能と関連(Fertil Steril 2022;117:171)

検査値が基準内(9未満)

1日400μgの葉酸サプリで問題なし(当院取扱い:BABY&ME 1,960円/60カプセル・葉酸400μg+B群配合)

検査値が基準外(9以上)

まず1か月間は1日800μgに増量。2か月目以降は400μgに減量可。または「エレビット」(1日800μg含有)も選択肢

厚生労働省の推奨通り、妊娠を計画している女性は全員、食事に加えてサプリメントからの葉酸摂取が基本です。ただし当院では検査でホモシステイン値を確認してから補充量を決定します。

【AMH1未満の方】DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)

項目

内容

対象

AMH(抗ミュラー管ホルモン)が1未満の方・希望者(AMH検査費用:7,700円)

DHEAとは

副腎皮質や卵巣から分泌されるホルモンの前駆体。テストステロン・エストラジオールの材料となる。弱い男性ホルモン様作用を持つ

妊娠との関係

低卵巣予備能・poor responderへのDHEA効果を調べたメタ解析・システマティックレビューで、妊娠率・生児獲得率・着床率・AFC数の増加および流産率低下が報告されている(J Assist Reprod Genet. 2016;33:981-991)

当院取扱い

California Nutrients(米国製)DHEA 25mg配合。1日1カプセル。当院窓口購入:5,400円(90カプセル)

服用期間

妊娠判明まで。妊娠が確認されたら服用終了

重要:DHEAは日本では医薬品として扱われており、一般的なドラッグストアでは購入できません。服用を希望する場合は、必ず医師に相談の上、当院受付にてご購入ください。

DHEAは「とりあえず飲んでみよう」ではなく、AMH値と卵巣機能の状態を確認した上で医師が必要と判断した場合にのみご案内しています。自己判断での服用は避けてください。

【体外受精中の方】レスベラトロール・メラトニン

レスベラトロールとメラトニンは、主に体外受精中の方(加齢・胚盤胞率が低い方など)に卵子の酸化ストレス軽減を目的として案内しています。ただし、服用タイミングに厳密な注意が必要です。

レスベラトロール|卵子の抗酸化・ミトコンドリア機能改善

項目

内容

レスベラトロールとは

天然のポリフェノールの一種。抗酸化・抗炎症・抗老化作用を持つ

妊娠との関係(肯定)

採卵前3か月間の投与で、ICSI後の培養成績が改善(J Matern Fetal Neonatal Med. 2022;35:7640)。卵巣刺激反応性の指標FORTが有意に高かった(J Ovarian Res. 2024;17:81)

妊娠との関係(否定)

妊娠率の低下・流産率上昇を報告した研究も存在。着床時期にも服用していたことが要因と考えられている

推奨摂取量

1日200mg(当院取扱い:BABY&ME 8,140円・純度99%以上トランスレスベラトロール200mg配合・60カプセル)

レスベラトロール服用タイミング

採卵周期(全胚凍結)

採卵後も含めて毎日服用

凍結融解胚移植周期

月経開始から妊娠判定まで中止

新鮮胚移植周期

採卵前日まで服用・採卵日以降は中止

タイミング法・人工授精周期

実施日まで服用・以降は中止

服用タイミングの厳守が必要:レスベラトロールの抗酸化作用は、着床時に必要な子宮内膜の変化に逆効果となる場合があります。移植周期・タイミング法の実施前後は必ず中止してください。血中半減期は9〜10時間と短く、服用中止翌日には影響がなくなります。

メラトニン|強い抗酸化作用・採卵数・成熟卵数の改善

項目

内容

メラトニンとは

脳の松果体から分泌されるホルモン。睡眠作用に加え、強い抗酸化作用を持つ

妊娠との関係(肯定)

ミトコンドリアで多く生産され細胞の酸化ストレスを軽減。体外受精の反復不成功群でメラトニン摂取により採卵数・成熟卵数が増加(Antioxidants. 2020;9:1197)。受精率の改善・移植可能胚の増加による成功率向上が示唆されている

妊娠との関係(否定)

採卵数・胚の質・妊娠率に影響しなかったとする研究もある。ただし肯定的な結果を示す研究が多く、抗酸化サプリとしての有用性が期待されている

当院取扱い

California Nutrients(米国製)メラトニン3mg配合。1日1カプセル就寝前。当院窓口購入:4,860円(60カプセル)

服用期間

妊娠判明まで。妊娠が確認されたら服用終了。眠気が生じる場合あり→就寝前服用を推奨

重要:メラトニンも日本では医薬品と同じ扱いです。個人での海外製サプリの購入は可能な場合もありますが、服用前に必ず医師にご相談ください。

受診して自分の栄養素値を検査する

【精子DNA断片化率が高い男性】SOサポート

精子検査の際に「DFI(DNA断片化指数)検査」も合わせて実施した場合、断片化率が高い男性に対して「SOサポート」をご案内しています。

SOサポートは精子のDNA断片化率を改善することを目的とした抗酸化サプリメントです。精子のDNA損傷は受精率の低下・胚の質の悪化・流産率の上昇と関連することが報告されています。

SOサポートの詳細(成分・費用・入手方法)は、DFI検査結果と一緒にご案内する同封資料をご確認ください。

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まとめ・当院のサプリメント案内について

サプリメント

対象

主な効果

注意点

ビタミンD

検査で基準値以下の女性

着床率・妊娠率・出産率の向上

脂溶性のため過剰摂取に注意

亜鉛

検査で基準値以下の女性と男性不妊

卵子の質・精子運動率の改善

食事からも摂取しているため重複確認

葉酸(ホモシステイン)

検査で基準値以下の女性

神経管閉鎖障害予防・生児獲得率向上

ホモシステイン値により摂取量を調整

DHEA

AMH1未満(医師判断)

卵巣予備能の改善・妊娠率向上

日本では医薬品扱い。必ず医師に相談

レスベラトロール

体外受精中(希望者)

卵子の抗酸化・胚培養成績の改善

移植周期・タイミング法実施前後は中止

メラトニン

体外受精中(希望者)

抗酸化・採卵数・成熟卵数の増加

日本では医薬品扱い。就寝前服用

SOサポート

精子DNA断片化率が高い男性

精子DNA損傷の改善

DFI検査結果に基づいてご案内

はらメディカルクリニックでは、「検査で確認してから・必要な方に・必要なものを」という方針でサプリメントをご案内しています。「何を飲めばいいかわからない」「今飲んでいるサプリが正しいか確認したい」という方も、ぜひ一度ご相談ください。

サプリメントはあくまで治療の補助です。最も大切なのは、「適切な不妊治療」「医師の指示を守った薬の服用」「規則正しい生活」を組み合わせることです。

はらメディカルクリニックの体外受精説明会(ライブ開催時・会場参加)では、サプリメントの相談ができます。

体外受精説明会を確認する

データ引用元

ビタミンDと着床率・妊娠率の関連:Reprod Health. 2019;16:106.
亜鉛と妊娠期間の関連(女性):Nutrients 2019;11:1609
亜鉛と卵胞液・受精率の関連:Int J Clin Exp Med 2017;10:3547
亜鉛と精子運動率(男性):日本泌尿器科学会 2019年発表
葉酸・B12と生児獲得率:Am J Clin Nutr 2015;102:943
葉酸と卵巣予備能の関連:Fertil Steril 2022;117:171
DHEAと妊娠率・生児獲得率:J Assist Reprod Genet. 2016;33:981-991
レスベラトロールと培養成績:J Matern Fetal Neonatal Med. 2022;35:7640
レスベラトロールとFORT:J Ovarian Res. 2024;17:81
メラトニンと採卵数・成熟卵数:Antioxidants. 2020;9:1197
院内サプリメント資料:文看-260:不妊治療中のサプリメントについて※院内資料

監修医師

宮﨑 薫みやざき かおる

はらメディカルクリニック理事長・院長

  • 医学博士
  • 日本参加婦人科学会認定 産婦人科専門医・指導医
  • 日本生殖医学会認定 生殖医療専門医・指導医
  • 日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医

2004年慶應義塾大学医学部卒業、2013年慶應義塾大学大学院医学研究科修了。2013年4月東京歯科大学市川総合病院産婦人科助教 2014年4月慶應義塾大学産婦人科助教。2017年10月 USMLE(米国医師国家試験)Step1–3 合格。2017年10月ノースウェスタン大学産婦人科(米国シカゴ)研究助教授。2018年10月荻窪病院産婦人科勤務。2020年5月はらメディカルクリニック院長就任。2020年7月医療法人社団暁慶会理事長就任。

医師・スタッフ紹介

よくあるご質問

回答

基本的にメーカーはどこでも構いませんが、葉酸含有量と他のビタミンとの相互作用を確認してご選択ください。当院では検査でホモシステイン値が基準外(9以上)の場合に1か月間800μgへの増量を指導しています。

回答

日本ではDHEAは医薬品と同等の扱いのため、国内のドラッグストアやインターネットでの購入はできません。当院ではアメリカ製の信頼性の高いDHEAサプリメントを取り扱っており、医師の判断のもとで受付にてご購入いただけます。必ず受診の上、医師にご相談ください。

回答

必要性がわかった時期から開始しましょう。当院では初診時の検査結果をもとに開始タイミングをご案内します。まずはご受診の上ご相談ください。

回答

市販の別サプリメントとの重複摂取(脂溶性ビタミンの過剰摂取など)には注意が必要です。現在服用中のサプリメントや薬がある場合は、診察時に必ず医師にお伝えください。組み合わせての服用を前提にお話しさせていただきます。

回答

精子検査・DNA断片化検査(DFI検査)の結果によっては、男性もサプリメントを検討しましょう。必要に応じた接種ができるよう、男性不妊外来(泌尿器科)にて個別にご相談の上でサプリメントなどを決定することをお勧めします。

回答

サプリメントの種類によって異なります。レスベラトロールは凍結融解胚移植周期の月経開始から妊娠判定までは服用しないでください。ビタミンD・亜鉛・葉酸は移植後も継続可能です。DHEAとメラトニンは妊娠判明後に服用を終了することが多い傾向がります。不妊治療中のサプリメントの服用期間については医師に個別にご確認ください。