Column

はらメディカルクリニックの精子提供について

精子提供とは

精子提供とは、無精子のご夫婦がお子さんを授かるための不妊治療に使用する精子を、第三者が提供することを指します。
精子を提供する人のことを、精子ドナー(精子提供者)といいます。

精子バンクについて

精子バンクとは、精子ドナー(精子提供者)から提供された精子を凍結保存し、適切に保管・管理する仕組みです。

日本では、学会の見解により、民間の精子バンクを使用した治療は認められておらず、学会に登録された医療機関のみが実施できます。当院は、日本産科婦人科学会に登録された、国内でも数少ない精子バンクを院内に有する医療機関の一つです。

当院の精子バンクの特徴は、ドナー精子の凍結保存・管理・治療での使用までを院内で一貫して行っている点です。提供された精子はすべて当院の治療にのみ使用され、外部への提供は行いません。これにより、安全性とドナーの権利保護を両立した管理体制を確保しています。

提供精子が必要な夫婦

ドナーから提供された精子は、法律上、「提供精子がなければ妊娠できない無精子の夫をもつ法律婚のご夫婦」にのみ使用されます。
無精子症は日本人男性の約1%にみられます。中でも、もともと精子をつくる機能自体が著しく低下している非閉塞性無精子症が多いとされています。

精子提供者の条件

精子提供は、医療の安全性と、提供から生まれる人の福祉を尊重するため、以下の基準を満たす方にお願いしています。

ドナーの条件

基本条件

  • 20歳から38歳までにドナー登録し、提供は40歳未満まで
  • 日本国籍を有する者*1
  • 適正身長・体重
  • 専門学校生・大学生、あるいはこれを卒業した者*2

生活習慣

  • 喫煙していない、または過去の喫煙歴が1年以内で、直近3か月間は禁煙している
  • 麻薬や覚せい剤などの使用歴がない
  • 犯罪歴がない

精子所見

  • WHOの基準を満たす良好精子
  • DNA断片化率が低い

感染症検査

以下の感染症がすべて陰性であること(定期的な再検査あり)

  • B型肝炎
  • C型肝炎
  • HIV
  • 梅毒
  • HTLV-1
  • クラミジア

遺伝的リスク

  • 家族歴に重大な遺伝性疾患がない
  • 染色体(Gバンド)が正常型である

その他

  • 倫理観・社会性を有していること
  • 精神的に安定し、精神疾患の既往がない
  • 配偶者がいる場合はその同意がある

*1 当院では、治療を受けるご夫婦の大半が日本人であることから、ドナーも日本国籍を有する方に限定しています。

*2 提供によって生まれた人は、ドナーに関する情報をすべては知ることはできません。 そのため当院では、思春期や人生の岐路において自身の可能性を考える際に、自身のルーツであるドナーが専門的な学びに取り組んだ経験を持つという事実を一つのよりどころとして受け取れるよう、本条件を設けています。

ドナー個人情報の保護

すべての精子ドナー(精子提供者)の氏名・生年月日・住所などの個人情報は、厳重に管理されています。これらの情報を当院から治療を受けるご夫婦や、生まれた子どもに開示することはありません*3
また、院内でもドナー情報にアクセスできるのは、限られた権限を持つスタッフのみです。

*3 非匿名ドナーの場合、契約条件(当院仲介による成人後の接触)が履行されない場合に限り、契約に基づき、必要な範囲で個人情報が取り扱われることがあります。

匿名・非匿名の登録選択

当院の精子バンクでは、精子ドナーとして登録する際に、「非匿名」または「匿名」のいずれかを選択することができます。

匿名と非匿名の違い

非匿名とは

非匿名*4とは、提供によって生まれた人が成人後に接触を希望した場合、当院の仲介のもとで接触が行われる登録方法です。
接触にあたっては、生まれた人に対してカウンセリングや倫理委員会の審査、ドナーの権利を守るための契約締結を行い、十分な理解と準備が確認された場合に限り実施されます。

提供によって生まれた人の考え方はさまざまであり、ドナーに関心を持たない場合もあれば、自身のルーツとして知りたいと考える場合もあります。そのような場合に、将来的な接触に応じることを前提とする方は、非匿名での登録をご検討ください。

※4 非匿名の定義は精子バンクによって異なります。

匿名とは

匿名とは、提供によって生まれた人と接触することがない登録方法です。

生まれる人への配慮

当院が提供精子の治療において最も大切にしているのは、この治療で生まれる人の幸福です。
そのため当院では、治療を受けるご夫婦に対して、子どもの出自を尊重した子育てや告知について、事前の学習と計画づくりを支援しています。
夫婦が妊娠した後は、ドナーの皆様に記入していただく個人を特定しない情報(身長・体重・趣味・精子を提供する理由など)をの情報を伝え、子どもが自身の成り立ちを理解できるようにしていきます。
非匿名ドナーは、将来的に子どもが自身のルーツにアクセスできる可能性を持つという点で、重要な意味を持ちます。

精子提供の流れと相談

  1. 申し込み

予約サイトに登録し、面談・検査の予約を行います。

  1. 面談・検査

来院のうえ、制度説明とともに以下の検査を行います。

  • 採血(感染症検査)
  • 精液検査
  • 心理面の確認
  1. 登録

基準を満たした場合、ご自身で「非匿名」か「匿名」を選択してドナー登録します。 提供されたドナー当院で凍結保存され、当院の治療にのみ使用されます。

精子提供の流れ
面談・検査の予約をする

補償について

精子提供に対しては、報酬ではなく以下の実費相当分について補償があります。

  • 交通費
  • 通信費
  • 採取・来院にかかる時間的負担
  • 健康管理に関する費用

詳細は初回面談時に説明します。

精子提供に関するご相談

精子提供については、制度や条件、倫理的な側面など、事前に理解しておくべき事項が多くあります。
ご不明な点がある場合は、専用の問い合わせフォームからお問い合わせください。

精子提供に関する問い合わせ

よくある質問FAQ

Q. 精子提供は名前を知られずに行われますか?

A. はい。個人情報は厳重に管理され、限られた権限を持つスタッフのみが取り扱います。
治療を受けるご夫婦や、生まれた人に氏名や住所などが開示されることはありません。また、家族や職場など外部に知られることもありません。

Q. 将来、生まれた子どもと会うことはありますか?

A. 非匿名ドナーを選択した場合のみ、提供によって生まれた人が成人後に接触を希望し、一定の手続きを経たうえで、当院の仲介により接触が行われます。
接触の前後において、当院から本人へドナーの個人情報が開示されることはありません。
接触後、ドナーと生まれた人の双方の同意がある場合に限り、個人情報を交換することがあります。
匿名ドナーの場合は、接触はありません。

Q. 精子ドナーの報酬はいくらですか?

A. 報酬ではなく、精子を提供するための労力に対する補償があります。金額の詳細は初回の来院時にご説明します。事前の金額に関するお問合せはお受けしておりません。

Q. 健康への影響はありますか?

A.精子提供は、採取した精子をご提出いただくものです。この行為によって健康被害が生じることはありません。

Q. 生活への影響はありますか?

A. 事前検査の上で、ドナー登録していますので、基本的には通常どおりの生活で問題ありません。ただし、精子を採取する際は適切な禁欲(2~5日程度)をお願いしています。

Q. どのくらいの頻度で来院が必要ですか?

A. 精子の凍結ごとにご来院が必要となりますが、ご自身の都合に合わせてご予約・ご来院いただけます。1回のみの方もいれば、複数回ご協力いただく方もいます。

Q. 提供によって生まれた子どもの将来が心配です。

A. 子どもの将来について考えを巡らせていただき、ありがとうございます。人の幸せには、家庭環境や周囲との関係、本人の性格や価値観など、さまざまな要素が関わります。そのため、提供精子によって生まれたことだけで、その人の幸せが決まるものではありません。

当院では、提供精子による治療において大切なのは、生まれた本人が「自分は望まれて生まれてきた」と、幼少期から一貫して感じ続けられる環境を整えることだと考えています。
そのため、治療を受けるご夫婦には、治療前から学習の機会を設けるとともに、子どもとの関わり方について計画を立て、子どもの権利や福祉、告知について一緒に準備を進めています。また、妊娠後や出産後も、継続した支援を行っています。ドナーのご協力も、その大切な仕組みの一部です。
詳しくは、初回の来院時にご説明します。