不妊治療には、条件を満たせば治療費の一部が戻る制度や、給付を受けられる制度が複数あります。
まずは全体像を整理しておきましょう。このページでは、不妊治療で活用できる6つの制度をまとめています。
6つの制度 早見表
| 制度名 | どんなお金 | 目安 |
|---|---|---|
| ①高額療養費制度 | 保険診療の自己負担に上限 | 月数万円〜十数万円差 |
| ②医療費控除 | 年間医療費10万円超で税軽減 | 数万円〜十数万円程度 |
| ③都道府県の助成金 | 都道府県が行う治療費の助成 | 数万円~90万円前後 |
| ④市区町村の助成金 | 市区町村が行う治療費の助成 | 数万円〜数十万円 |
| ⑤民間医療保険の給付金 | 契約に基づく給付 | 契約内容による |
| ⑥妊婦のための支援給付金 | 妊娠や心拍後流産も対象 | 5万+5万×胎児数 |
①高額療養費制度
高額療養費制度は、保険診療の自己負担額に月ごとの上限を設ける制度です。年齢や所得により上限額は異なります。
マイナ保険証を利用している場合は、上限額で窓口請求されます。年収約370万〜約770万円の方では、月約8万円台が目安です。
②医療費控除
医療費控除は、1年間の医療費の合算が原則10万円を超えた場合に、税負担が軽減される制度です。不妊治療の保険診療や自費診療の費用に加え、通院のための交通費も対象となる場合があります。確定申告が必要です。
たとえば、年収約500万円で年間50万円の治療費を支払った場合、軽減額は約10万円前後が目安です。
③都道府県の助成金
都道府県が実施する不妊治療費や検査費用の助成制度です。対象となる治療や対象者、助成額や回数は自治体ごとに異なります。「〇〇県 不妊助成金」で検索し、取りこぼしのないよう確認しましょう。
例:東京都では複数の助成制度があり、①TOKYOプレコンゼミ後の検査(男女それぞれ上限3万円)、②夫婦の不妊症検査(上限5万円)、③卵子凍結(初年度上限20万円+調査協力年2万円×最大5年)、④先進医療(上限90万円)、⑤不育症検査(上限5万円)などがあります。
助成金の制度・受診証明書の作成依頼④市区町村の助成金
市区町村が独自に実施している不妊治療費や検査費用の助成制度で、都道府県の制度とは別にもらえます。対象や助成額は市区町村ごとに異なります。「〇〇市 不妊助成金」で検索し、確認しておきましょう。
例:東京都内でも制度内容は大きく異なります。 港区では審議中の先進医療(PGT-Aなど)により自由診療となった治療への助成、 渋谷区では保険診療の自己負担分への助成、 文京区では男性不妊検査への助成があります。 また、東京都の先進医療助成に対する上乗せ助成を行っている市区町村も複数あります。
⑤民間医療保険の給付金
民間の医療保険とは、〇〇生命などの任意で加入する保険です。人工授精や体外受精は手術として扱われるため、手術給付金や手術一時金の対象となる場合があります。保険診療に限らず、契約内容によっては自由診療も対象となることがあります。ご自身が加入している保険がどの治療まで対象となるのか、保険会社にご確認ください。
例:手術一時金のある保険では、人工授精・体外受精のたびに、治療費とは別に5万〜10万円などの給付を受け取れる場合があります。
民間医療保険で体外受精もカバー?徹底解説!⑥妊婦のための支援給付金(心拍確認後の流産・死産も対象)
妊娠した方を対象に、市区町村から支給される国の給付金制度です。心拍確認後の流産や死産も対象となります。原則として、妊娠届出時に5万円、出産後に胎児数に応じて5万円×人数分が支給されます。
妊婦のための支援給付金|胎児心拍確認後の流産・死産も対象制度の活用で自己負担はここまで変わる
【渋谷区在住/35歳/年収約500万円】
治療内容
・採卵(採卵10個・胚盤胞5個凍結)+タイムラプス培養
・凍結融解胚移植+SEET法
治療費
採卵周期163,200円+凍結融解胚移植周期62,900円
=合計241,100円 (詳細はこちら)
制度3つ利用で185,500円軽減(①+③+④)
- ①高額療養費制度で採卵周期は自己負担上限が適用され約54,000円軽減
- ③東京都先進医療助成制度で31,500円軽減
- ④渋谷区生殖補助医療助成制度で100,000円軽減
→治療費241,100円から185,500円軽減され実質自己負担は約55,600円
さらに制度2つを利用した場合
- ⑤民間の医療保険に加入している場合、手術として扱われる保険診療や先進医療が給付対象となる契約では15万円前後の給付を受けられ、自己負担が0円となる可能性もあります。
- 妊娠した後は、⑥妊婦のための支援給付金として5万円+5万円×胎児数が支給されます。
上記は一例です
- 治療内容や所得、加入している保険、自治体の制度などにより、実際の自己負担額は異なります。
- 妻が実施する治療は妻の条件(年収や民間保険の加入状況など)、夫が実施する治療(男性不妊治療など)は夫の条件に基づきます。