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ガイドライン改定(第2弾)子どもへの支援と提供精子選定方法の変更について

ガイドライン変更第二弾のお知らせのイメージ画像

当院では、2026年8月1日より、提供精子による生殖補助医療のガイドライン第8版への改定を予定しています。

6月19日には、ガイドライン改定のお知らせ第一弾として、「完全非匿名化と匿名AIDの今後」についてご案内しました。まだご確認されていない方は、先にこちらのページをご覧ください。

第2弾となる今回は、ガイドライン改定のうち、新たに始まる子どもへの支援と、提供精子の選定方法の変更についてご案内します。

第2弾の変更点

  1. 同じドナーによる子ども同士(ドナーシブリング)の繋がり
  2. 3歳と6歳の発達・家族フォローを開始
  3. 絵本作成会への参加が必須
  4. 提供精子の選定方法を変更

以下に、今回の変更内容と、その理由について詳しくご説明します。

①同じドナーによる子ども同士の繋がりについて

当院では、「非匿名の提供精子」、または「ドナー周辺情報の開示可能な匿名提供精子」による子どもが、15歳以上となり希望した場合に、同じドナーによる子ども(Donor Siblings・ドナーシブリング)同士が繋がれる制度として、HARA Donor Sibling Link を2038年頃から開始する予定です。

同じドナーによる子ども同士(ドナーシブリング)の交流風景

HARA Donor Sibling Linkとは

HARA Donor Sibling Linkは、はらメディカルクリニックの提供精子により生まれたDonor Sibling(同じドナーによる子ども)同士が、将来、希望に応じて繋がることのできる制度です。

海外では、Donor Siblings(ドナーシブリング)が交流できる仕組みが広く設けられており、自分と同じ遺伝的ルーツを持つ人との出会いは、子どもにとって大切な支えになると考えられています。当院でも、この考え方を取り入れ、本制度を開始する予定です。

HARA Donor Sibling Linkの参加要件

安全に繋がるためには、ドナーシブリング同士の間で、出自の受け止め方や理解に大きな差が生じないことが重要だと考えています。そのため、HARA Donor Sibling Linkへの参加には、次の要件を満たしていることを予定しています。

  • 幼少期から計画的に、繰り返し告知を受けていること
  • 夫婦が絵本作成会に参加し、子どもが「ねえ、しってる?」の絵本を持っていること
  • 3歳と6歳の発達・家族フォローを受けていること

制度の開始は2038年頃を予定していますが、参加要件となる取り組みは、妊娠中からお子さんの成長に合わせて進めていただくものです。そのため、今回のガイドライン改定であわせてご案内しています。

②3歳と6歳の発達・家族フォローを開始

当院では今年から、お子さんが3歳と6歳になった2回、「発達・家族フォロー」を実施します。

3歳と6歳の発達・家族フォローのために夫婦が書類を記入しているイメージ

これは、提供精子による生殖補助医療で生まれた子どもの発達や家族支援について、日本で初めて実施する調査とフォローです。お子さんの発達の確認に加え、子どもへの告知の状況や、ご家族の困りごとなども確認し、必要に応じて支援につなげるとともに、この取り組みを通じて、本治療の安全性を継続的に確認し、今後の医療につなげていきます。

なお、2026年に3歳になるお子さんをお持ちのご家族は、今年から対象となります。7月下旬に登録フォームを配信しますので、ご入力をお願いいたします。必要な書類をご自宅へお送りします。

③絵本作成会への参加が必須

当院ではこれまで、ご希望のご夫婦に絵本作成会にご参加いただきましたが、今回のガイドライン改定では、2026年8月以降にご卒業(妊娠によるご転院の日)の方から、絵本作成会への参加を必須とします。

提供精子で生まれた子どもと家族の告知を支援する絵本作成会。絵本の活用イメージ

絵本作成会を必須とする4つの理由

1.親から子どもへ伝えやすくするため
親子会のアンケートにて、「まだ告知していない」と回答されたご家族は、絵本作成会へ参加していない割合が高いことが分かっています。そのため、親から子どもへの告知(テリング)を支援することを目的としています。
2.子ども自身が読み返せるようにするため
子どもへの告知は一度で終わるものではありません。絵本があることで、子ども自身が好きな時に何度でも読み返すことができ、成長に合わせて理解を深めていけると考えています。
3.親が周囲へ説明しやすくするため
絵本を作成したご家族からは、「家族や先生などに説明する時、この絵本が一番伝えやすかった」という感想を多くいただいています。子育ての中で、「この人には知っておいてほしい」と思う場面で、親の負担を軽減することにもつながります。
4.子どもが自分のことを伝えやすくするため
人が、自分の大切な人に「自分をわかってほしい」と思うのは、この治療で生まれた人も同じです。しかし、自分のことを伝えようと思っても、「どのように伝えればよいのかわからない」「伝えること自体をためらってしまう」と感じる人も少なくありません。そこで当院は、この治療で生まれた人が、自分のことを伝えやすくなるよう、世界で一冊だけの、その子と家族だけの物語をまとめた絵本を、一人ひとりに持っていてほしいと考えています。

絵本作成会について

絵本作成会は、来場とオンラインのハイブリットで開催しており、妊娠中からお子さんの年齢にかかわらず参加できます。

作成会では、ご夫婦から子どもへのメッセージや、精子ドナーについて、ご夫婦自身の言葉で絵本の内容を考えていただきます。その後、お子さんが生まれ、お名前が決まってから専用フォームより原稿をご提出いただきます。完成した絵本は、市販の絵本と同じように製本し、ご自宅へお届けします。

なお、絵本作成会は年1回開催しています。2026年は11月14日(土)に開催を予定しています。日程が近づきましたら、改めてご案内いたします。

変更④提供精子の選定方法を変更します

2026年8月以降、提供精子の選定方法を変更します。これまでは、夫の血液型と同じ提供精子を選定していましたが、今後は、治療ごとに「夫婦から生まれる可能性のある子どもの血液型」に合わせて提供精子を選定します。

子どもを守るための血液型選定と自動システムの説明図

この変更によって、夫婦から生まれる可能性のある子どもの血液型の範囲が変わることはありません。そのため、この変更による患者様や生まれてくる子どもへの不利益はないと考えています。

例えば、夫A型・妻B型のご夫婦では、生まれる可能性のある子どもの血液型はA・B・AB・Oです。

これまではA型の提供精子を使用していましたが、今後は、夫婦から生まれる可能性のある子どもの血液型(A・B・AB・O)の範囲内となるよう提供精子を選定します。そのため、夫婦から生まれる可能性のある子どもの血液型の範囲は、これまでと変わりません。

提供精子の選定は、今後、現案にて特定生殖補助医療法が制定・施行された場合は実施できなくなる可能性が高まります。その場合は、夫婦から生まれる可能性のある血液型とは関係なく、提供精子をランダムに選定することになる見込みです。

以下に、変更の理由と背景について詳しくご説明します。

日本で夫と同じ血液型を選んできた理由

日本では長年、提供精子による治療の多くが秘密で行われてきました。そのため、子どもや第三者に知られにくいよう、夫と同じ血液型の提供精子を使用する方法がとられてきたと考えられています。

医学的には血液型を選ぶ必要はない

提供精子による生殖補助医療では、ドナーの血液型を選ぶ医学的な必要はありません。

血液型によって妊娠率や生まれてくる子どもの健康が変わることはなく、日本産科婦人科学会も、夫との血液型の一致を求めていません。また、出自を知る権利を保障している諸外国でも、ドナーの血液型を選ぶ習慣はありません。

「将来、輸血が必要になった時に困るのでは」と心配される方もいますが、現在の輸血医療では、本人の血液型を確認したうえで安全な血液製剤を使用するため、家族の血液型が問題になることはありません

当院が選定方法を変更する理由

当院では、自ら子どもへ告知したいと考えるご夫婦のみを治療対象としているため、夫と同じ血液型であることに大きな意味はないと考えています。

一方で、子どもの血液型が夫婦から生まれる可能性のない血液型であった場合には、告知方針が一致していない第三者から憶測され、アウティングによって子どもが傷つくことは避けなければなりません。

そのため当院では、「夫と同じ血液型」であることではなく、「夫婦から生まれる可能性のある子どもの血液型」を基準として提供精子を選定する方法へ変更します。

この変更は、「夫と似せること」や「隠すこと」を目的としたものではないことを明確にするとともに、「子どもをアウティングから守ること」という当院の考え方を、より明確に反映したものです

提供精子はシステムが自動で選定

提供精子は、電子カルテに組み込まれた当院独自のシステムが自動で選定しています。

今後は、システムの中で夫婦の血液型から生まれる可能性のある子どもの血液型を算定し、その条件を満たすドナーの中から、出生児数や凍結順などの条件に基づいて自動的に決定します。医療スタッフが、任意にドナーを選ぶことはありません。

AIDでは人工授精の実施直前、IVF-Dでは採卵後の受精前に、使用する提供精子ドナーの血液型を妻へ開示し、同意を得たうえで治療を行います。

よくある質問(60件以上・随時更新中)

患者様からいただいたご質問をもとに、60件以上のFAQを掲載しています。内容は随時追加・更新していますのでぜひご覧ください。

ガイドライン改定の【よくある質問】FAQ

本件に関するご質問

今回のガイドライン改定は大きな変更を含むため、ご不明点もあるかと思います。

①本記事、②よくある質問をご確認ください。それでも解決しない場合は、下記の専用フォームよりお問い合わせください。

ガイドライン8版改定に関するご質問フォーム

なお、本件に関するお問い合わせは、電話およびホームページのお問い合わせフォームでは受け付けておりません。お手数をおかけしますが、回答の統一と正確なご案内のため、専用フォームをご利用くださいますようお願いいたします。お電話をいただいた場合も専用フォームをご案内いたしますので、あらかじめご了承ください。