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卵子凍結の補助金・助成金はいくら?国のモデル事業と東京都・港区・千代田区・柏市の制度を医師監修で解説【2026年版】

「卵子凍結を考えているけれど、補助金や助成金は使えるの?」「いくらもらえて、いつまでに動けばいいの?」――こうした疑問に、お答えする記事です。

2026年に開始された国の新しいモデル事業と、東京都をはじめとする各自治体の卵子凍結助成制度について、対象年齢や金額、申請の流れをわかりやすく整理しました。東京都内とその近郊にお住まいで、卵子凍結を検討している方にとって、最初に読んでいただきたい内容です。 

2026年春、こども家庭庁は卵子凍結に関するモデル事業の実施要綱を公表しました(※1)。ただし、この制度は誰でも全国一律で20万円もらえる、というものではありません。

病気などの理由で将来の妊娠に備える必要がある方を対象としつつ、18〜35歳の未婚女性も対象に含め、データを集めながら制度の有効性や課題を検証する「モデル事業」という位置づけです  (※1)(※2)。

国のモデル事業と自治体助成の違い

制度は大きく2つあります。ひとつは、こども家庭庁による2026年度のモデル事業。もうひとつは、東京都や一部自治体が先行して行っている独自助成です。

国のモデル事業は、卵子凍結への助成制度そのものを全国展開することが目的というより、制度の有効性や課題を検証するためのモデル事業という位置づけです。一方、東京都などの自治体助成は、実際の住民支援制度として先行して運用されているものです。

例えば東京都は、2023年10月から18〜39歳を対象に独自助成を継続しており、未婚女性に限定されていません。さらに港区・千代田区では、東京都の助成に加えた区独自助成があります。

また、大阪府は2025年から、AMH低値や早発卵巣不全など医学的リスクを対象とした助成を開始しており、池田市では市独自の上乗せがあります。他にも、山梨県、姫路市、柏市などで独自助成が行われています。

自治体ごとに、対象年齢や対象条件、助成金額、申請方法は異なるため、「自分がどの制度の対象になるのか」を確認することが重要です。

国の卵子凍結モデル事業はどういう制度か

国のモデル事業では、卵子凍結に対して1回上限20万円の助成があります(※1)。さらに将来、凍結卵子を用いた生殖補助医療を行う場合には、1回上限25万円の助成があります。初回助成時の妻の年齢が40歳未満なら 最大6回、40歳以上43歳未満なら最大3回という回数制限があります。

国モデル事業における医学的適応群と比較対象群の関係を示した概念図

35歳の線引きについて補足すると、卵子は加齢とともに数が減り、染色体異常を含む割合も増えるため、一般的に35歳頃から妊娠率が緩やかに低下し、流産率が上昇する傾向が知られています(※1)。

日本生殖医学会の指針でも、未受精卵子の採取時年齢は36歳未満が望ましいとされており、国は補助の効果が見込める年齢層として比較対象群を原則18〜35歳までと設定したと考えられます。

大切なのは、補助制度の対象かどうかだけで判断せず、ご自身の卵巣予備能(AMH値)や月経の状態、ライフプランを踏まえて検討することです。効果には個人差があります。

なお、国のモデル事業は2026年5月時点で事業に参画する自治体の募集が始まったばかりであり、申請窓口・申請書類・申請期限などの具体的な流れは、参画自治体ごとに2026年度中に公表される予定です(※1)。お住まいの自治体が参画するかどうか、参画した場合の申請方法については、各自治体の公式案内をご確認ください。

東京都の助成は18〜39歳が対象

東京都の助成は、採卵を行った日において18歳以上40歳未満の女性が対象です。

説明会への参加、説明会参加日から1年以内の投薬開始、説明会申込日から助成金申請日まで継続した都内住民登録、登録医療機関の利用、凍結後の調査協力、卵子の売買・譲渡・第三者提供・海外移送を行わないことなどが要件です。

不妊症の診断を受けている方や、若年がん患者等向けの妊孕性温存事業の対象者などは対象外です。

東京都の卵子凍結助成の対象者要件をチェックリスト形式で示した図

助成は2段構えです。まず、卵子凍結時に上限20万円。その後、凍結卵子の保管に関する調査に回答すると、翌年度以降に一律2万円が加算されます。ただし、合計額は凍結した年度で変わります。たとえば令和7年度に凍結した方の最大額は26万円、令和6年度なら28万円、令和5年度なら30万円です。

凍結卵子を使った生殖補助医療については、1回上限25万円です。初めて助成を受けた際の妻の年齢が40歳未満なら最大6回、40歳以上43歳未満なら最大3回までです。以前に凍結した胚の移植など一部ケースでは1回上限10万円の扱いがあります。

申請から振込までの期間も注意が必要です。「申請から約1か月で振込」とは限りません。東京都公式では、不備がなければ審査に約3か月、その後、承認決定通知書到着から約1か月後に振込と案内されています。

港区・千代田区・柏市の助成

東京都・港区・千代田区・柏市の卵子凍結助成内容を地域別にまとめたイメージ

港区では、東京都の助成承認を受けた方を対象に、東京都の20万円を差し引いた残額に対して上限10万円の上乗せ助成があります。申請期限は、東京都の承認決定通知書に記載された日付から3か月以内です。問い合わせ先は港区みなと保健所健康推進課健康づくり係(電話: 03-6400-0083)です。

千代田区でも、東京都の助成承認を受けた方に対し、都助成額を差し引いた額に対して上限10万円の助成があります。申請期限は、東京都の「卵子凍結への支援に向けた調査事業調査協力(凍結時)助成承認決定通知書」に記載された日付から1年以内です。電子申請が案内されています。問い合わせ先は千代田保健所保健サービス課保健サービス係(電話: 03-6256-8477)です。

柏市では、18〜39歳の女性を対象に、採卵・凍結保存費用へ上限20万円を助成する独自制度があります。初年度の保管料も助成対象に含まれ、助成は1人1回限りです。対象医療機関は、日本産科婦人科学会の生殖補助医療実施登録施設として登録されている全国の医療機関です。2026年5月時点では、令和8年度の受付が開始されています

関東圏のその他の動き

関東圏のその他の地域については、県独自の社会的卵子凍結助成はまだ限定的です。神奈川県は国モデル事業への参画方針を予算説明で公表していますが、執筆時点(2026年5月)で対象年齢、申請受付開始日、対象医療機関などの詳細はまだ決まっていません。最新情報は神奈川県および各市区町村の公式ページでご確認ください。

卵子凍結は何歳まで考えるべきか

制度の対象年齢と、医学的に勧めやすい年齢は同じではありません。日本生殖医学会の指針では、未受精卵子の採取時年齢は36歳未満が望ましいとされています。

加齢に伴う卵子の質・数の変化と妊娠率の関係を示したグラフ

はらメディカルクリニックでは、将来の妊娠を目的とする卵子凍結は20代〜34歳を推奨しつつ、同院での実施可能年齢は44歳まで、凍結卵子の最長保管期間は本人が50歳の誕生日を迎える前日までと案内しています。

制度上の対象年齢に入っていても、実際にどれだけ採卵できるか、将来の妊娠可能性をどこまで見込めるかは個人差が大きいため、AMHなどの検査結果も踏まえて判断することが大切です。

自己負担額は固定額より計算式で見る

卵子凍結の費用は、薬剤量、採卵数、保管年数、医療機関ごとの料金設定によってかなり変わります。固定額を算出するより、総額から助成額を差し引く算出方法が有用だと考えます。

国モデル事業の比較対象群として利用する場合の目安

自己負担額 = 医療機関の総額 − 国の凍結時助成20万円

さらに将来、凍結卵子を使った生殖補助医療を行う場面では別枠助成の対象となる可能性があります。

東京都の助成を使う場合の目安

自己負担額 = 医療機関の総額 − 凍結時助成20万円 − 翌年度以降の調査回答に応じた加算額

加算額は凍結年度によって到達可能な最大額が異なります(令和7年度凍結なら最大26万円、令和6年度なら28万円、令和5年度なら30万円)。

港区・千代田区に住んでいる場合の目安

自己負担額 = 上の東京都利用時の自己負担額 − 区の上乗せ助成(上限10万円)

費用は必ず最新の料金表と見積もりで確認してください。当院の料金詳細はこちらのページをご参照ください。

はらメディカルクリニックの卵子凍結について

はらメディカルクリニックは、1993年に東京都内で最初に開設された不妊治療専門クリニックです。卵子凍結についても2008年から実施しており、長年の経験をもとに、卵子凍結に適した方法や運用を見直してきました。

凍結卵子は、実際に使用する際、通常の体外受精とは異なる難しさがあります。当院ではその点に着目し、2022年から凍結・融解方法を見直し、将来の妊娠につながりやすい方法を追求してきました。

また、卵子凍結は「凍結すること」だけでなく、「将来使うところまで見据えた設計」が重要だと考えています。そのため、採卵・培養・凍結保管までを院内で一貫して行い、医師・培養士・看護師によるチーム医療を提供しています。

2023年の卵子凍結件数は年間400件以上実施し、東京都平均(年間37件)を大きく上回る実績があります。

  • 東京都「卵子凍結に係る費用への助成」登録医療機関
  • 採卵から凍結保管までを院内で完結
  • 卵子凍結説明会(無料・オンライン/Zoom)を定期開催
  • 血液検査結果に基づく個別シミュレーションを提供
  • 独身女性・カップルいずれの相談にも対応

卵子凍結は、ご自身のライフプランを考える上での選択肢の一つです。制度の対象年齢だけでなく、AMH値や今後のライフプランも踏まえて検討することが大切です。

当院では、メリット・デメリットの両面を理解したうえで判断していただけるよう、無料の卵子凍結説明会を定期開催しています。まずは情報を整理するところから始めていただければと思います。

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よくある質問(FAQ)

独身でも補助金は受けられますか?

はい。国モデル事業の比較対象群は未婚女性が前提で、東京都の助成は婚姻状況を問いません。

36〜39歳は国の補助対象外ですか?

将来の妊娠に備える「社会的卵子凍結」として見る場合、国のモデル事業では原則対象外です(※2)。一方、東京都では18〜39歳が対象です。

国と東京都の助成は併用できますか?

現時点では、国のモデル事業は自治体募集が始まった段階であり、東京都助成との関係や具体的な運用はまだ明確に公表されていません。そのため、「国と東京都の助成を両方受けられる」と前提に考えず、今後公表される国・東京都それぞれの最新案内を確認することが重要です。

凍結した卵子はいつまで保管できますか?

医療機関により異なりますが、当院ではご本人が50歳の誕生日を迎える前日まで(49歳まで)を最長保管期間としています。

補助金の申請はクリニックで代行してもらえますか?

申請手続きはご本人が行います。その申請に必要となる受診証明書などの書類は治療を実施した医療機関で発行します。当院では、オンラインでこの書類の作成依頼ができます。

社会的卵子凍結は民間の医療保険の対象ですか?

卵子凍結は、自由診療の採卵手術のため、個々の契約内容によっては給付金の対象になる場合があります。詳しくは、契約先の保険会社にご確認ください。

本記事は2026年5月10日時点で公表されている情報に基づいています。制度は変更される可能性があるため、申請前には必ず国・自治体・医療機関の最新公式情報をご確認ください。効果には個人差があります。

 

参考リンク・出典

本文中の脚注

※1

卵子凍結助成金、まず18〜35歳対象に最大20万円 こども家庭庁公表(日本経済新聞) こども家庭庁 卵子凍結による妊孕性温存等に係る課題検証のためのモデル事業 実施要綱(PDF) こども家庭庁 令和8年度母子保健対策関係予算の概要(PDF)

※2

未婚女性の「卵子凍結」補助、35歳までに制限 36から39歳は対象外へ(FNNプライムオンライン)

公式サイト・一次情報

こども家庭庁 卵子凍結モデル事業 Q&A(PDF) こども家庭庁 令和7年度補正予算案の概要(PDF) 東京都福祉局 卵子凍結に係る費用の助成 東京都福祉局 凍結卵子を使用した生殖補助医療への助成 港区 卵子凍結費用助成 千代田区 卵子凍結費用助成 千代田区 凍結卵子使用時の生殖補助医療助成 柏市 社会的卵子凍結に係る助成 日本生殖医学会 未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関する指針 国税庁 No.1122 医療費控除の対象となる医療費 国税庁 不妊症の治療費・人工授精の費用

監修医師

宮﨑 薫みやざき かおる

はらメディカルクリニック理事長・院長

  • 医学博士
  • 日本参加婦人科学会認定 産婦人科専門医・指導医
  • 日本生殖医学会認定 生殖医療専門医・指導医
  • 日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医

2004年慶應義塾大学医学部卒業、2013年慶應義塾大学大学院医学研究科修了。2013年4月東京歯科大学市川総合病院産婦人科助教 2014年4月慶應義塾大学産婦人科助教。2017年10月 USMLE(米国医師国家試験)Step1–3 合格。2017年10月ノースウェスタン大学産婦人科(米国シカゴ)研究助教授。2018年10月荻窪病院産婦人科勤務。2020年5月はらメディカルクリニック院長就任。2020年7月医療法人社団暁慶会理事長就任。

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