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受精障害について【培養部より】

桜の季節もいつしか過ぎ、葉桜の季節となりました。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
今回、培養部は生命の誕生である「受精」がうまく起こらない「受精障害」について
考えられる原因及びその治療法についてお話したいと思います。
通常自然では膣内に射精された精子は卵子に向かってすすんでいき、卵管膨大部という場所で、1匹の精子が卵子の中へ侵入し、受精がおこります。
受精障害とは、精子が十分にいるにもかかわらずこの受精が起こらないことをいいます。
受精障害の原因としては、卵子に問題がある場合、精子に問題がある場合、両方に問題がある場合の3つが考えられます。
まず、卵子に問題があった場合、原因は次のように考えられます。
1.卵子の殻の部分である透明帯が固かったり、厚かったりし、精子がくっつけない場合、精子が卵子の透明帯を通過できず、受精することができなくなってしまう。
2.精子が透明帯を通過後に、精子の持つ因子が卵子内に放出されると卵子が活性化し、受精が起こりますが、その活性化が起こっていない。
3.採取できた卵子が未熟で、卵子自体に受精する能力がなく、受精できない。
次に精子に問題があった場合です。
4.精子の機能的な問題により、卵子の殻の部分である透明帯にくっつけなかったり、透明帯を通過できず受精が起こらない。
5.精子が透明帯を通過後に、精子が卵子を活性化する因子をうまく放出できなかったり、その因子がない等で卵を活性化できず受精が起こらない。
この障害を打破する方法として、原因が1及び4の場合は顕微授精を実施するという方法があり、原因が2及び5の場合は卵子を活性化させるという方法があります。
精子が透明帯を通過できない場合は、顕微授精で確実に精子を卵子に注入することにより、受精を起こすことができます。
卵子が活性化しない場合は、顕微授精により卵子に精子を注入した後で電気刺激やカルシウムイオノフォアという方法で活性化を誘起させることで、受精させることができます。
原因が3の場合に関しては、今回とは異なる誘発方法に変えたり、エコーでの観察回数を増やしてもらうことにより、成熟卵の数を増やし受精卵を獲得できる可能性を高める事ができます。
受精障害は、一度の体外受精で判断がつかず難しい症例ではありますが、きちんと選択肢を提示させていただき、最善の方法をとらせていただきますので、ご安心ください。