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補助孵化療法について【培養部より】

こんにちは。培養部です。
今回は体外受精の移植の際に当院で行っております「補助孵化療法(アシステッドハッチング)」についてお話をさせていただきます。
卵巣から採取された卵子は顆粒膜細胞と呼ばれる細胞に覆われています。この細胞を取り除くと卵子があります。そして卵子は透明帯というたんぱく質で出来た殻につつまれています。この透明帯の役割は
・卵巣内で卵子が発育していく過程に必要な栄養素を顆粒膜細胞から供給している
・受精時に精子が卵子内に侵入すると透明帯を構成するたんぱく質が変性し、硬くなることで多精子受精を防止する
・受精、分割した初期胚はそれぞれの結合が弱く、バラバラになりやすいため、ひとつひとつの細胞(割球)がバラバラにならないようにまとめる
などが挙げられます。
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このような大切な役割をもっている透明帯ですが、受精卵が着床するためには、胚盤胞まで成長したのちに透明帯を自らの力で破って着床しなければなりません。この透明帯から出てくることを孵化(ハッチング)といいます。
順調に発育した胚盤胞でも着床への難関、孵化が起きなければ絶対に妊娠には至りません。
この孵化を手助け (アシスト)することを補助孵化療法(アシステッドハッチング)と呼びます。通常は胚自身の力や酵素の力などで自然と透明帯が破れるのですが、年齢により透明帯が分厚かったり硬かったりして破れにくい場合や凍結保存した際には透明帯が硬くなってしまうという報告がありますので、凍結受精卵の場合は補助孵化療法をさせていただくことは有効と考えております。
補助孵化療法の方法には酸性の薬品で透明帯を溶かす方法(化学的方法)や、ガラスの針で透明帯を削る方法(機械的方法)、レーザー光線で透明帯を削る方法(レーザー法)などがあげられます。
当院では、最も安全で、正確なレーザー光線を用いて透明帯の周りを薄く削る全周菲薄化方法をとらせていただいています。
新鮮胚移植の場合は、移植の直前、凍結融解胚移植の場合は事前に補助孵化療法についてのご相談させていただきますので安心してください。
補助孵化療法については、まだまだ新しい報告がされておりますので当院でもそれらを参考に検討していきたいです。
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