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精子のはなし【培養部より】

こんにちは。
今回のコラムは培養部が担当させて頂きます。
ここは本当に日本なのか・・・・?と疑いたくなるような暑さが続いていますが、体調など崩されてはいないでしょうか?
こまめに水分を取るなどして、脱水症の予防に努めたいものですね。
さて今回は男性不妊の要因についてお話したいと思います。
すべての原因が解明されてはいませんが、大きく分けて環境的な要因と遺伝的な要因に大別されます。
環境的な要因として、タバコ、過度のアルコール摂取、肥満、ストレスや思春期以降のおたふく風邪などです。また高温化での作業や電磁波、大気汚染さらには長時間の自転車運転なども精子に悪い影響を与えるようです。
次に遺伝的要因としては染色体異常や遺伝子変異などが挙げられますので、少し詳しくお話しします。
男性が男性としての正常な機能を持つためには、XとYの2種類ある性染色体のうちY染色体上の遺伝子の働きが重要な鍵となります。Y染色体上のAZF(Azoospermia factor)と呼ばれる領域には精子を作るための重要な遺伝子情報が乗っています。この部分が存在しなかったり、変異があったりすると精子形成に重大な障害をもたらす事がさまざまな研究によって明らかにされています。非閉塞性の無精子症患者(精子が通る管に問題がないにもかかわらず射精された精液中に精子がいない症例)の13%はAZF領域に問題があるとされています。
また常染色体上にも精子形成を行う上で、重要な役割を担う遺伝子が乗っています。たとえば減数分裂に関与しているものや、精子を育てる役目を持つセルトリ細胞の機能に関わるものです。そのためそれらの遺伝子に変異が生じれば、その遺伝子情報をもとに作られるたんぱく質にも異常な影響が出てきてしまうため、結果として精液中の精子数が正常よりも極端に少ない乏精子症や精液中に精子が認められない無精子症の要因となりうるわけです。
環境的な要因に関しては、適度な運動や食事量、禁酒、禁煙など健康的なライフスタイルを心がける事が精子所見に良い影響を与えるようです。また精巣を冷やすことで精子所見を回復させる事が報告されていますので、これからの季節はショートパンツなど通気性の良い服装で過ごしてみるのもいいかもしれませんね。また当院ではSQI-complexという精子所見の改善の為のサプリメントも処方しておりますので、ご希望の際は医師までお申し出ください(※保険適応外)。
また遺伝的な要因に関しては、根源的な治療を行う事は難しいのが現状です。しかし精液中に精子が存在しなくても、精巣内には精子が存在している事があります。その場合精巣から直接精子を回収するTESEと呼ばれる技法によって精子を採取し、顕微授精(ICSI)によって赤ちゃんを授かることが可能です。