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精子の調整方法について【培養部より】

こんにちは。
本日のコラムは培養部が担当いたします。
みなさまにお渡ししているピンク色の精子の所見が記載されているカードには、原精液と調製後の2つの精子の状態が記載されています。
精子の調整ってどういう意味?
と思われる方が沢山いらっしゃるかと思います。
そこで今回は精子の調整方法についてお話させていただきます。
当院では、「精子密度勾配遠心法」という方法で精子の調整を行っています。
密度勾配遠心法とは、試料を乗せて遠心分離すると、溶媒よりも重いものは沈んでいき、軽いものは浮いていきます。そして自分と同じ密度の場所に行くと浮きも沈みもしないため、集まって層を作ります。これを利用して精子の調整を行います。
まず、射出直後の精液はすぐに調整することはできません。射出直後はドロドロした状態ですが、30分経つとサラサラした状態になります。このサラサラした状態になることを液化といいます。この液化した状態で初めて精液の調整ができます。
射出後の精液には白血球や細菌などの異物が混じっています。本来は排卵直前に出て来る頚管粘液がこれらの子宮内への侵入を防ぎます。もしこれらが子宮内に侵入すると、感染を引き起こす原因となります。また、受精の妨げにもなります。しかし、人工授精、体外受精の場合は、この頚管粘液の部分をショートカットすることになるので、これら取り除く必要があります。そこで、精子密度勾配遠心用培地と呼ばれる培養液を使います。これを使用し遠心すると、精子と白血球や細菌などの異物を分離することができます。また、精子も生きている精子と、死んでいる精子や奇形の精子とを分離することができます。遠心後に分離された、生きていてかつ正常な形の精子をきれいに洗い、精子の調整は終了となります。この、より良い精子を分離する方法を「精子密度勾配遠心法」と言います。
そして、精子の調製後に人工授精、体外受精、精子の凍結が行われます。
ただし、この精子密度勾配遠心法はあくまでも理論上の話です。100%の確率で良い精子だけを分離することはできませんのでご了承ください。
このように私達培養部は、卵だけでなく精子も大切にお預かりしています。
不安なことがございましたら、お気軽にお声かけ下さい。