だんだん暖かくなり、春を感じるようになりましたね。
季節の変わり目ということで、体調を崩されてはいませんか?
今回は培養部より、正常受精未確認についてお話しさせていただきます。
受精には、「正常受精」、「異常受精」、「未(非)受精」、「受精は起こっているが、正常な受精かわからない」
という状態があり、「受精は起こっているが、正常な受精かわからない」場合を正常受精未確認とご報告させていただいております。
ではなぜ、正常な受精かどうか判断できないということが起こるのでしょうか。
卵の受精を判定する方法は『極体を観察する』と『前核を観察する』の2つあります。
卵が受精をすると、まず、もともと1つだった極体がもう1つ現れ、2つになるという現象が起こります。
(一般的に、極体が2つになった状態を『2PB』と表現します)
この反応は基本的に受精した卵全てに起こります(極体放出不全以外)。
次に、卵の細胞の中に前核が出現し、一定時間現れた後、消失します。
正常な受精をしているかどうかは、卵の細胞に現れる『前核』を観察して判断します。
正常な受精の場合はこの『前核』が2つ現れます。
(一般的に、前核が2つ現れた状態を『2PN』と表現します)
前核が3つ(3PN)以上の場合は異常受精と判断し、正常な発育が期待できないので培養中止となります。
当院で正常受精未確認とご報告させていただいているのは
極体が2つ現れたもののうち
『前核が確認できない』場合と『前核が1つ』の場合です。
これらは、極体が2つ確認できていることにより受精が起こっていること判断はできますが、
前核が2つ確認できないため、正常な受精が起こっているかどうかは判断できない状態にあります。
前核が正確に判断できないという状態が起こるのは、前核の現れる時期が制限されているためです。
一般的に、前核は受精後20時間前後で出現し、その後消失します。
卵1つ1つ、受精のタイミングや発育のスピードが異なるので、前核が現れている期間を逃すと、
前核数を確認できなくなってしまいます。
よって、正常受精未確認の卵には、『受精観察のタイミングが合わなかっただけで、正常な受精が起こっている卵』も含まれていますので、正常受精と同様に培養を継続させていただいております。
(逆に、異常な受精を起こしている卵である可能性もありますが、高度な異常であれば、途中で発育が止まると考えられています)
簡単な説明ではありますが、ご理解いただけましたでしょうか。
ご不明な点がございましたら、採卵後説明、IVFふり返り相談等で培養士にお気軽にお尋ねください。