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卵子と加齢とミトコンドリアの話【培養部より】

こんにちは。培養部です。
早いもので、新年を迎えたと思ったら、もう1月も終わりですね。
年末年始はどのようにお過ごしでしたか?私は年始年末に少し太ってしまいました。
さて今回のコラムでは卵子と加齢とミトコンドリアにどんな関係があるのかについてお話しようと思います。アフィリエイト等でも「ミトコンドリアの機能の改善が卵子の質を上げる」などとよく謳われています。実際のところどうなの?というご相談もよく患者様から聞かれますし、実際、不妊要因の一つとして今、非常にトピックとなっています。小難しい話になってしまいますが、どうぞお付き合いください。
ミトコンドリアは細胞のエネルギーを作る発電所のようなものです。そのためミトコンドリアに異常があるとエネルギーがうまく作れず、細胞の中で行われるさまざまな仕事に支障がでてしまいます(その仕事とは例えば細胞を分裂させる際に染色体を分けたりすることです)。さらに異常のあるミトコンドリアからは効率良くエネルギーを作れないばかりか、細胞に対して非常に害毒である活性酸素が作られてしまいます。またミトコンドリアは独自のDNAを持っています。このDNAの中にはミトコンドリアの中でエネルギーを作るのに重要なタンパク質の情報が入っていますが、ミトコンドリアの中のDNAは核の中のDNAと違って、活性酸素などのストレスに対して非常に弱いのです。そのためミトコンドリアの調子が悪い→活性酸素が出る→ミトコンドリアや細胞のDNAやタンパク質、脂質が障害を受けるといった悪循環に陥ってしまうといわれています。実際に加齢卵子ではエネルギーの量自体が少なく、ミトコンドリアのDNAには変異が多くなり、その数自体も少なくなるといった報告があります。こういった現象に起因して加齢卵子では染色体異常が上昇し、妊娠率が低下してしまうのではないかといわれています。
ではミトコンドリアの異常やエネルギーの不足をどのように改善できるのでしょうか。シンプルな戦略としては、卵子の中に元気なミトコンドリアを増やしてエネルギーをたくさん作れるようにしてしまえばいいというものです。簡単に実践できる方法としては適度なカロリー制限が挙げられます。実はミトコンドリアは細胞をハングリーにすると増えます。細胞の中には細胞内の摂食中枢を担当するようなタンパク質群があり、これらが活性化すると面白い事に、活性酸素の除去やミトコンドリアを新規合成させるタンパク質が増えるということが報告されています。また加齢したマウスを用いた実験ではカロリー制限を施したマウスでは卵子のエネルギー量や染色体異常が若いマウスと変わらなかったことが報告されています。ただ過度の体重量の低下は第二度無月経の原因になってしまいますので、気をつけなくてはいけません。
正月太りで太ってしまった方もいらっしゃると思います。これを機に食生活を見直してみても良いかもしれませんね。
以上、培養部でした。