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透明帯について【培養部より】

こんにちは、培養部です。
早くも梅雨入り宣言がされましたね。近くのコインランドリーには乾燥機の順番を待つ人が何人も並んでいて、梅雨入りをひしひしと感じました。
さて、本日は卵の殻である透明帯のお話しをしたいと思います。
透明帯とは卵子を包む、透明な糖たんぱく質の層のことです。
透明帯の役割には
・卵巣内で卵子が発育していく過程に必要な栄養素を顆粒膜細胞から供給する
・受精時に精子が卵子内に侵入すると透明帯を構成するたんぱく質が変性し、硬くなること(透明帯反応)で多精子受精を防止する
・受精、分割した初期胚はそれぞれの結合が弱く、バラバラになりやすいため、ひとつひとつの細胞(割球)がバラバラにならないようにまとめる
・受精後着床の場である子宮まで移動する際に、卵管の壁への付着を防止する
などが挙げられます。
胚は順調に発育を進め、拡張胚盤胞になるにつれ透明帯は薄くなり、やがて破られ、胚が脱出します。これをハッチングといいます。
透明帯は、年齢上昇による肥厚・硬化、凍結保存により硬化してしまうことが多く報告されており、これらは透明帯が破けずに胚が脱出できない大きな原因となってしまいます。
そのため、移植胚には胚の脱出を補助(アシスト)する補助孵化療法(アシステッドハッチング)が行われています。
補助孵化療法の方法にレーザー光線で透明帯を削る方法(レーザー法)や微細な振動を起こす特殊な装置を用いて透明帯を削る方法(ピエゾ法)などがあります。
採卵した卵の中には透明帯が存在しない卵もまれに見られ、透明帯がない卵子の特別な培養方法も近年の学会では報告されつつあります。
透明帯についてもまだまだ新たな研究・報告が日々更新されていますので、当院でもそれらを参考に精進してまいります。