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卵子凍結とは?始める前に知っておきたい基礎知識・費用・流れ

卵子凍結とは?始める前に知っておきたいこと

卵子凍結とは

卵子凍結とは、将来の妊娠に備えて、若いうちの卵子を採取し、凍結保存する方法です。

女性の卵子は、生まれたときに一生分の数が決まっており、新たにつくられることはありません。また、年齢とともに卵子の数だけでなく質も低下していくため、妊娠しやすさは加齢の影響を受けます。

卵子凍結では、妊娠を希望する時期より前に採卵を行い、卵子をマイナス196℃の液体窒素で凍結保存します。そして将来、妊娠を希望した際に卵子を融解し、受精・培養・胚移植を行うことで妊娠を目指します。

卵子凍結は「将来の妊娠を保証する医療」ではなく、「将来の妊娠の可能性を高めるための選択肢の一つ」です。そのため、メリットだけでなく限界や注意点についても理解したうえで検討することが大切です。

卵子凍結には2つの種類がある

卵子凍結は、目的によって大きく2つに分けられます。

二種類の卵子凍結|社会的卵子凍結と医学的卵子凍結

社会的卵子凍結(ノンメディカルな卵子凍結)

健康な女性が、加齢による妊娠力の低下に備えて卵子を凍結保存する方法です。

近年では「社会的卵子凍結」に加えて、「ノンメディカルな卵子凍結(Non-medical egg freezing)」という呼び方も広がっています。これは、病気の治療ではなく、ライフプランやキャリア、パートナーとの出会いなどを考慮して、自らの意思で将来の選択肢を残すために行う卵子凍結を指します。

医学的卵子凍結

がんなどの治療によって卵巣機能が低下する可能性がある場合に、妊孕性(将来妊娠する力)を温存することを目的として行われる卵子凍結です。
抗がん剤治療や放射線治療などを開始する前に行われることが多く、主治医や生殖医療施設が連携して進めます。

なお、当院では医学的卵子凍結は実施しておらず本記事では将来の妊娠に備えて行う「社会的卵子凍結(ノンメディカルな卵子凍結)」についてご紹介します。

卵子凍結と受精卵凍結の違い

卵子凍結と混同されやすいものに受精卵凍結(胚凍結)があります。
両者の違いは、凍結するタイミングです。

  • 卵子凍結:採取した卵子を受精させずに凍結保存する方法
  • 受精卵凍結:採取した卵子を精子と受精させ、受精卵(胚)の状態で凍結保存する方法

そのため、卵子凍結は将来のパートナーが決まっていない方でも選択できます。一方、受精卵凍結は受精に用いる精子が必要となるため、一般的には法律婚・事実婚などパートナーがいる方を対象として行われます。

なぜ卵子凍結が注目されているのか

近年、「卵子凍結」という言葉を耳にする機会が増えています。その背景には、女性のライフスタイルや社会環境の変化があります。

進学やキャリア形成、パートナーとの出会いなど、一人ひとりの人生設計が多様化したことで、「今は妊娠を希望していないけれど、将来は子どもを望みたい」と考える方が増えています。
一方で、妊娠しやすさは年齢の影響を受けます。仕事やライフイベントを優先しているうちに、妊娠を希望した頃には卵子の数や質が低下していることも少なくありません。

このような背景から、将来の選択肢を残す方法として、卵子凍結が注目されています。

女性のライフプランが多様化している

近年では、結婚や出産のタイミングは人それぞれです。例えば、

  • キャリアを優先したい
  • 学業や資格取得に取り組みたい
  • まだパートナーと出会っていない
  • 経済的な準備を整えてから結婚・妊娠したい

など、さまざまな理由から妊娠を急がない方も少なくありません。
こうした中で、「将来子どもを望む可能性を残しておきたい」という選択肢として、社会的卵子凍結(ノンメディカルな卵子凍結)への関心が高まっています。

妊娠のしやすさは年齢の影響を受ける

近年は、ライフプランの多様化などを背景に晩婚化が進んでいます。
厚生労働省の人口動態統計によると、妻の平均初婚年齢は1995年の26.3歳から2024年には29.8歳へと上昇しています。また、第1子出生時の母の平均年齢も、1995年の27.5歳から2024年には31.0歳へと上昇しています。*

* 出典:厚生労働省「人口動態統計(確定数)」 「出生順位別にみた年次別母の平均年齢」 「全婚姻-初婚別にみた年次別夫妻の平均婚姻年齢及び夫妻の年齢差」

一方で、妊娠のしやすさは年齢の影響を受けます。
女性は生まれたときに一生分の卵子を持って生まれますが、その数は年齢とともに減少し、質も変化していきます。そのため、妊娠を希望する時期が遅くなるほど、卵子の加齢による影響を受ける可能性があります。 こうした背景から、将来の妊娠に備えて若い時点の卵子を保存しておく卵子凍結が、選択肢の一つとして注目されています。

ただし、卵子凍結は年齢を若返らせる医療ではなく、将来の妊娠や出産を保証するものではありません。採卵した時点の卵子を保存することで、将来の妊娠に向けた選択肢を残すための医療です。

卵子凍結でできること・できないこと

卵子凍結は、将来の妊娠に備えるための医療です。しかし、「卵子を凍結すれば将来必ず妊娠できる」「何歳でも出産できるようになる」というものではありません。卵子凍結でできること・できないことを正しく理解したうえで検討することが大切です。

卵子凍結でできること

若い頃の卵子を保存できる

卵子凍結では、採卵した時点の卵子を凍結保存します。
そのため、将来使用する際には採卵した年齢の卵子を用いて妊娠を目指すことができます。例えば34歳で凍結した卵子を40歳で使用する場合、卵子自体は34歳時点の状態です。

将来の妊娠に向けた選択肢を残せる

「今は妊娠を希望していない」「まだパートナーが決まっていない」という場合でも、卵子を保存しておくことで、将来妊娠を希望した際の選択肢を残すことができます。
卵子凍結は、妊娠のタイミングを決める医療ではなく、将来のライフプランの選択肢を広げるための医療といえます。

卵子凍結でできないこと

将来の妊娠・出産を保証することはできない

卵子凍結をしても、将来の妊娠や出産が保証されるわけではありません。
卵子の融解後には受精・培養・胚移植という過程があり、そのすべてが順調に進むとは限りません。また、妊娠には子宮の状態や全身の健康状態、将来のパートナーの精子の状態など、さまざまな要因が関係します。

卵子凍結をしても時間が止まるわけではない

卵子凍結で保存できるのは、採卵した時点の卵子です。卵子の加齢を止めることはできますが、子宮や全身の加齢まで止められるわけではありません。
また、妊娠・出産には卵子だけでなく、子宮の状態や全身の健康状態も関係します。そのため、将来妊娠を希望する際には、年齢や健康状態に応じた治療や妊娠管理が必要です。 さらに、妊娠・出産の先には育児もあります。年齢によっては体力面や健康面への影響も考慮する必要があるため、卵子凍結をした場合でも、「いつでも妊娠・出産できる」というわけではありません。ライフプラン全体を見据えて、妊娠・出産の時期を考えることが大切です。

ポイント

  • 卵子凍結は、将来の妊娠の可能性を高める選択肢ではありますが、妊娠や出産を保証するものではありません。 「できること」と「できないこと」の両方を理解したうえで、自分の価値観やライフプランに合わせて検討することが大切です。

卵子凍結はどんな人に向いている?

卵子凍結は、すべての女性に必要な医療ではありません。
しかし、ライフプランや年齢によっては、将来の選択肢を広げる方法の一つとなる場合があります。次のような方は、一度情報収集や医師への相談を検討してみてもよいでしょう。

将来は子どもを望んでいるが、今すぐ結婚・妊娠は考えていない方

「いつかは子どもがほしい」と考えていても、仕事や学業、家庭の事情などから、現在は結婚・妊娠を希望していない方も少なくありません。
卵子凍結は、そのような方が将来の妊娠に備えるための選択肢の一つです。

パートナーが決まっていない方

将来子どもを希望しているものの、現在はパートナーがいないという理由で妊娠の時期を決められない方もいます。卵子凍結は未受精の卵子を保存するため、将来パートナーが決まってから受精・胚移植へ進むことができます。

キャリアやライフプランを大切にしたい方

転職や留学、資格取得など、人生には妊娠以外にも大切なライフイベントがあります。
卵子凍結は、それらを優先しながらも、将来妊娠を希望した際の選択肢を残したいと考える方にも検討されています。

年齢による妊娠への影響が気になり始めた方

女性の妊娠しやすさは年齢の影響を受けます。

前述のように、将来は子どもを望んでいるものの今すぐ妊娠を考えていない方や、パートナーが決まっていない方、キャリアやライフプランを大切にしたい方の中でも、年齢による妊娠への影響が気になり始めた方は、卵子凍結について情報収集や医師への相談を検討してみるとよいでしょう。

卵子凍結は年齢が若いほど採卵できる卵子の数や質の面で有利になる傾向があります。現在の年齢や卵巣予備能(AMH)、今後のライフプランなどを踏まえて、検討することが大切です。

当院で卵子凍結ができる年齢

  • 当院では、20歳以上39歳までの方を対象に卵子凍結を行っています。 年齢は卵子の質や将来の妊娠率に影響するため、早めの情報収集・ご相談をおすすめしています。

卵子凍結の流れ

Process flow of IVF: consultation, ovarian stimulation, egg retrieval, and freezing eggs (top row). Then thawing, fertilization, embryo transfer, and pregnancy (bottom row).

卵子凍結は、月経開始2、3日目から卵子の凍結保存まで約1か月で行われることが一般的です。

なお、当院では卵子凍結をご希望の方に、初診前の説明会への参加をお願いしています。説明会で卵子凍結の仕組みや治療内容、費用などをご確認いただいたうえで、初診・検査へ進みます

  1. 診察・検査

まず、卵子凍結を安全に進めるために必要な検査・診察を行います。
AMH検査やホルモン検査、感染症検査、超音波検査などを実施し、卵巣の状態や体の状態を確認します。これらの結果をもとに、卵子凍結を進められるかどうかや、今後の治療方針を判断します。

  1. 卵巣刺激

採卵に向けて、排卵誘発剤を使用し複数の卵胞を育てます。治療期間中は数回通院し、超音波検査やホルモン検査で卵胞の発育を確認しながら、採卵日を決定します。

  1. 採卵

卵胞が十分に成熟したら採卵を行います。採卵は経腟超音波で確認しながら卵巣内の卵子を採取する処置です。処置時間は比較的短時間で終了することが一般的です。

  1. 卵子の凍結保存

採取した卵子のうち、成熟した卵子を選別し、将来使用できるよう凍結保存します。保存した卵子は、妊娠を希望する時期まで液体窒素内で保管されます。

  1. 将来、妊娠を希望したときに使用

妊娠を希望する時期になったら、凍結していた卵子を融解し、体外受精・胚培養・胚移植を行います。その後、妊娠判定を行い、妊娠成立を目指します。

卵子凍結のメリット・デメリット

卵子凍結には、将来の妊娠に向けた選択肢を広げるというメリットがある一方で、治療に伴う身体的・経済的な負担もあります。
後悔しない選択をするためには、メリットだけでなくデメリットについても理解しておくことが大切です。

メリット

将来の妊娠に向けた選択肢を広げられる

卵子凍結の最大のメリットは、将来妊娠を希望した際の選択肢を残せることです。
「今は妊娠を希望していないけれど、将来は子どもを望んでいる」という方にとって、ライフプランに合わせて妊娠を考えられる可能性があります。

将来の選択を考える時間を持てる

卵子凍結は、「今すぐ妊娠するかどうか」を決めるための医療ではありません。
将来のライフプランやパートナーとの人生設計について考える時間を持ちながら、妊娠という選択肢を残せることもメリットの一つです。

デメリット

妊娠・出産が保証されるわけではない

卵子凍結を行っても、将来の妊娠や出産が保証されるわけではありません。 凍結した卵子がすべて受精・発育するとは限らず、妊娠には子宮の状態や健康状態など、さまざまな要因が関係します。

体に負担がかかる

卵子凍結には、排卵誘発剤の使用や採卵処置が必要です。 採卵前には複数回の通院が必要となるほか、排卵誘発剤の影響で腹部の張りや違和感を感じることがあります。また、まれではありますが、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)や出血、感染などの合併症が起こる可能性もあります。

費用や保管料がかかる

卵子凍結は保険が適用されず、自由診療で行われます。当院の場合、採卵・凍結保存の費用で40万円前後、そして毎年の保管料が必要になります。そのため、治療を検討する際は、初期費用だけでなく継続的な費用についても確認しておくことが大切です。

必ずしも一度の採卵で十分な卵子数が得られるとは限らない

採取できる卵子の数には個人差があり、年齢や卵巣予備能(AMH)などによって異なります。希望する数の卵子を保存するために、複数回採卵を行う場合もあります。

ポイント

  • 卵子凍結は、「するべき」「しなくてもよい」と一概に言えるものではありません。 メリットとデメリットの両方を理解し、自分の年齢や卵巣の状態、ライフプラン、費用などを踏まえて「自分にとって必要か」を検討することが大切です。

費用はどれくらい?

卵子凍結には、採卵・卵子の凍結保存にかかる費用に加え、凍結した卵子を保管するための保管料が必要です。
費用は医療機関や治療内容によって異なりますが、当院の場合は1回の採卵~凍結で40万円程度かかります。かかる費用項目は大きく分けると以下の通りです。

  • 初診・各種検査
  • 排卵誘発剤
  • 採卵
  • 卵子凍結
  • 凍結卵子の年間保管料

また、将来凍結した卵子を使用する際には、融解・顕微授精・胚培養・胚移植などの費用が別途必要になります。

一方で、卵子凍結や凍結卵子を用いた治療には、国のモデル事業や東京都などの自治体の助成制度を利用できる場合があります。対象年齢や助成額、申請方法などは制度によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

助成制度について詳しく知りたい方は、コラム|卵子凍結の補助金・助成金はいくら?(2026年版)の記事をご覧ください。

卵子凍結を考え始めたら

卵子凍結は、「するか、しないか」をすぐに決める必要はありません。
まずは正しい情報を知り、自分の年齢や卵巣の状態、ライフプランを踏まえて検討することが大切です。

まずは自分の卵巣の状態を知る

卵子凍結を検討する際には、現在の卵巣の状態を把握することが重要です。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査では、卵巣予備能の目安を確認できます。ただし、AMHは卵子の「数」の目安であり、「質」や妊娠しやすさを直接示すものではありません。 検査結果だけで判断するのではなく、年齢などもあわせて総合的に評価することが大切です。

医療機関に相談し、自分に合った選択肢を考える

卵子凍結が適しているかどうかは、年齢や卵巣予備能、将来のライフプランなどによって異なります。
医療機関で相談することで、自分に合った治療計画や、期待できる効果・考慮すべき点について具体的な説明を受けることができます。

まずは情報収集から始めよう

卵子凍結は、将来の妊娠に向けた選択肢の一つです。
「まだ迷っている」「自分に必要なのかわからない」という段階でも、情報収集や説明会への参加は無駄にはなりません。 納得して選択するためにも、疑問や不安を解消しながら、自分にとって最適なタイミングを考えていきましょう。

まとめ

  • 卵子凍結は、将来の妊娠に向けた選択肢を残すための医療
  • 妊娠や出産を保証するものではなく、メリット・デメリットの理解が大切
  • 年齢とともに卵子の数や質は変化するため、気になり始めたら早めに情報収集することが重要

卵子凍結は、将来の妊娠に備えて若いうちの卵子を保存する医療です。近年は、ライフプランの多様化に伴い、社会的卵子凍結(ノンメディカルな卵子凍結)への関心が高まっています。

一方で、卵子凍結はすべての人に必要な医療ではなく、妊娠や出産を保証するものでもありません。大切なのは、ご自身の年齢やライフプラン、妊娠への考え方を踏まえたうえで、自分に合った選択をすることです。 「将来は子どもを望んでいる」「卵子凍結について詳しく知りたい」とお考えの方は、まずは説明会への参加や医師への相談、AMH検査などから始めてみてはいかがでしょうか。

卵子凍結説明会に参加する

監修医師

宮﨑 薫みやざき かおる

はらメディカルクリニック理事長・院長

  • 医学博士
  • 日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医・指導医
  • 日本生殖医学会認定 生殖医療専門医・指導医
  • 日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医

2004年慶應義塾大学医学部卒業、2013年慶應義塾大学大学院医学研究科修了。2013年4月東京歯科大学市川総合病院産婦人科助教 2014年4月慶應義塾大学産婦人科助教。2017年10月 USMLE(米国医師国家試験)Step1–3 合格。2017年10月ノースウェスタン大学産婦人科(米国シカゴ)研究助教授。2018年10月荻窪病院産婦人科勤務。2020年5月はらメディカルクリニック院長就任。2020年7月医療法人社団暁慶会理事長就任。

医師・スタッフ紹介

よくあるご質問

回答

卵子は生まれながらに持っている細胞で、年齢とともに老化し、妊娠しにくくなります。卵子凍結とは、若い時期の卵子を将来の妊娠に備えて採取し、未受精のまま凍結保存する治療です。

回答

初診・検査後、卵子凍結を行う周期が始まってからは、卵巣刺激の注射開始から採卵まで、通常2週間前後です。

回答

卵子凍結を検討するためには、正しい知識を持つことが大切です。
当院では、卵子凍結を前提としない無料の説明会を開催しており、検討のための情報提供を行っています。まずは、卵子凍結説明会にご参加ください。

回答

当院で卵子凍結が可能なのは44歳までです。ただし、将来の妊娠の可能性を高めるためには、34歳までに卵子凍結を行うことをおすすめしています。年齢と卵子凍結の有効性については、無料の卵子凍結説明会(オンライン)で詳しくご説明しています。

回答

はい。助成金説明ページ【目次3】から作成依頼が可能です。受け取り方法や支払い方法もフォーム内でご案内しています。

回答

採卵数には個人差があります。当院では、無料の卵子凍結説明会(オンライン)で、目安となる採卵数のシミュレーションを行っています。

回答

医療機関により異なりますが、当院ではご本人が50歳の誕生日を迎える前日まで(49歳まで)を最長保管期間としています。