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体外受精のスケジュール|1回の期間と通院回数の目安【医師監修】

体外受精1回にかかる期間は、採卵から妊娠判定まで約2〜3か月で、通院回数は採卵周期・胚移植周期を合わせて9~13回が目安です。

体外受精を受けるにあたって、仕事や家事と治療を両立するうえで気になるのは、「何回通院するの?」「いつ休みが必要?」「採卵日はいつ決まる?」といったスケジュールではないでしょうか。

この記事では、体外受精1回の全体スケジュールや通院回数の目安、仕事との両立のポイント、予定を立てる際に知っておきたいポイントをわかりやすく紹介します。

体外受精という治療そのものの仕組みや対象となる方については、「体外受精とは」の解説記事をご覧ください。

体外受精の全体スケジュール(採卵から妊娠判定まで)

体外受精は、月経開始後2,3日目の診察から始まり、卵巣刺激、卵胞確認、採卵、受精・培養、胚移植、妊娠判定という流れで進みます。

具体的には、排卵誘発剤を使って複数の卵胞を育て、超音波検査やホルモン検査で発育を確認します。卵胞が十分に育ったら採卵日を決定し、採卵の約2日前に卵子を最終成熟させるための注射や点鼻薬を使用します。
採卵後は、取り出した卵子と精子を受精させ、受精卵(胚)を数日間培養します。その後、胚を子宮に戻す胚移植を行い、約10日~13日後に血液検査で妊娠判定を行います。

凍結融解胚移植と新鮮胚移植

胚移植には、受精卵(胚)をいったん凍結し、採卵とは別の月経周期に移植する「凍結融解胚移植」と、採卵した周期のうちに移植する「新鮮胚移植」があります。

当院では、多くの場合、凍結融解胚移植を行います。凍結融解胚移植では、採卵周期と胚移植周期に分けて治療を進めるため、採卵から妊娠判定まで約2〜3か月が目安です。一方、新鮮胚移植では、採卵した周期に胚移植まで進むため、月経開始から妊娠判定まで約1か月が目安となります。

採卵周期のスケジュール

採卵周期は、月経開始から約1か月です。診察で治療計画を立て、卵巣刺激で卵胞を育て、採卵・受精・培養を経て受精卵(胚)を凍結します。通院回数は4〜5回程度が目安ですが、卵胞の育ち方によって変わります。

時期 内容 院内滞在時間(目安)
月経2〜3日目 周期開始の診察・採血・超音波・治療計画

約2.5時間

月経3〜10日目 卵巣刺激(自己注射・内服) 通院なし
月経9〜13日目 卵胞確認(2〜3回) 約2時間
月経10〜12日目 LHサージ誘起|トリガー 通院なし(自宅で注射・点鼻)
月経12〜16日目 採卵 約4~5時間
採卵後 受精・培養・胚凍結 通院なし(メール連絡)

目安のスケジュールです。実際は卵胞の育ち方によって一人ひとり変わります。

月経2〜3日目|採卵周期スタート

月経が始まったら、月経2〜3日目に受診します。血液検査と超音波検査で卵巣の状態を確認し、その周期の治療計画を立てます。

診察では、卵巣刺激の方法(自然・低刺激・中刺激・高刺激など)を決定し、おおよその採卵時期も確認します。卵巣刺激に使用する自己注射や内服薬についても、このタイミングで説明を受けます。

月経3〜10日目|卵巣刺激

卵巣刺激では、排卵誘発剤(自己注射や内服薬)を使用して複数の卵胞を育てます。通常、1つしか育たない卵子を複数育てることで、採卵できる卵子の数を増やすことを目指します。

ペンタイプの自己注射なら、ご自身で簡単に注射できるため、毎日の通院は不要です。

月経9〜13日目|卵胞確認・採卵日決定

卵胞が順調に育っているかを確認するため、超音波検査やホルモン検査を行います。卵胞の発育に合わせて2〜3回程度受診し、十分な大きさまで育ったら採卵日を決定します。採卵日は卵胞の育ち方によって決まるため、通常は採卵予定日の2〜3日前に確定します。

採卵日の約2日前の夜には、卵子を最終成熟させるための「トリガー」と呼ばれる自己注射や点鼻薬を使用します。

月経12〜16日目|採卵

採卵では、腟から専用の細い針を挿入し、卵巣から卵子を採取します。
当院では基本的に静脈麻酔を使用しているため、眠っている間に痛みを感じることなく採卵を終えられます。採卵自体は10〜15分程度で終了します。

採卵後は院内で約1~2時間安静にしてから帰宅します。安静中には、培養士から採取できた卵子の数をお伝えし、受精方法や培養ステージ、移植方法などについて最終確認を行います。また、看護師からはお薬の説明や今後のスケジュールについてご案内します。

採卵後|受精・培養・胚凍結

採卵した卵子は当日中に受精を行い、その後3〜6日間かけて培養します。受精卵(胚)が良好に発育した場合は凍結保存し、次の月経周期に胚移植を行います。

培養中の経過は、採卵翌日、3日後、5〜6日後にメールでお知らせします。そのため、この期間は基本的に通院する必要はありません。

胚移植周期のスケジュール

胚移植周期は、月経開始から妊娠判定まで約1か月です。月経開始後に子宮内膜の状態を確認し、必要に応じて薬で着床しやすい環境を整えます。その後、凍結した受精卵(胚)を融解して子宮内へ移植し、約10〜14日後に妊娠判定を行います。通院回数は4〜7回程度が目安です。

時期 内容 院内滞在時間(目安)
月経2〜3日目 診察・移植周期開始 約1~2時間
月経3〜16日目 ホルモン補充または排卵誘発を使用 通院なし(内服・貼付・腟剤など)
月経10〜18日目 子宮内膜確認・移植日決定(2~5回) 約2時間
月経17〜21日目 胚移植 約2時間
胚移植10〜13日後 妊娠判定 約2時間

目安のスケジュールです。移植周期の通院のタイミングは、排卵までの管理方法(自然周期・低刺激周期・ホルモン補充周期)によってかわります。

月経2〜3日目|胚移植周期スタート

月経2〜3日目に受診し、「今周期胚移植ご要望書」をもとに胚移植周期のスケジュールを立てます。
ここで胚移植周期の排卵までの管理方法(自然周期・低刺激周期・ホルモン補充周期)を医師と相談して決定します。

月経3〜16日目|ホルモン補充または排卵誘発を使用

ホルモン補充周期の場合は薬(卵胞ホルモン|エストロゲン)を使用しながら、受精卵(胚)が着床しやすい子宮内膜を作ります。低刺激の場合は排卵誘発剤を用いて自身の卵巣から分泌されるエストロゲンで子宮内膜を育てます。
この期間は薬の使用だけなので通院する必要はありません。

なお自然周期の場合、薬の使用はありません。

月経10〜18日目|子宮内膜確認・胚移植日決定

超音波検査や血液検査で子宮内膜の厚さやホルモン値を確認します。子宮内膜が十分に整ったことを確認したら、胚移植日を決定します。

ホルモン補充周期はホルモン剤で子宮内膜を整えるため、あらかじめ立てたスケジュールどおりに治療を進めやすく、子宮内膜の確認のための通院回数を少なくできます。
一方、自然周期や低刺激周期では、ご自身のホルモンの分泌に合わせて子宮内膜を整えるため、子宮内膜や排卵の状態を確認する診察が増え、来院回数も多くなる傾向があります。

月経17〜21日目|胚移植

移植当日は、凍結していた受精卵(胚)を融解し、細いカテーテルを使って子宮内へ戻します。

胚移植自体は5〜10分程度で終了し、麻酔は使用しません。移植後は、すぐに帰宅していただいても、院内で少し休んでから帰宅していただいても構いません。帰宅後も仕事や家事など、普段どおりの日常生活を送っていただけます。

胚移植10〜13日後|妊娠判定

胚移植から10〜13日後に来院し、血液検査で妊娠判定を行います。

妊娠判定で陽性となった場合は、その後も数回診察を行い、胎嚢や心拍を確認します。妊娠経過が順調であれば、妊娠8〜10週頃を目安に卒業となります。

胚移植の方法による通院回数・日程の違い

凍結融解胚移植には、主に「自然周期」「低刺激周期」「ホルモン補充周期」の3つの方法があります。

妊娠率や流産率は、移植する胚の状態などによる影響が大きく、移植方法によって大きな差はないと考えられています。一方で、子宮内膜を整える方法が異なるため、通院回数や日程の調整しやすさには違いがあります。

胚移植の方法 子宮内膜を整える方法 妊娠判定までの通院回数 日程の調整
自然周期 ご自身の卵巣から分泌されるホルモンで子宮内膜を整える 5〜7回程度 難しい
低刺激周期 薬で排卵を促し、ご自身のホルモンで子宮内膜を整える 5〜7回程度 難しい
ホルモン補充周期 ホルモン剤で子宮内膜を整える 4回程度 調整しやすい

自然周期

自然周期では、ご自身の卵巣から分泌されるエストロゲンによって子宮内膜を整えます。排卵の時期に合わせて胚移植日を決めるため、卵胞の発育や子宮内膜の状態を確認する診察が必要です。

排卵前には2〜3回程度受診することがあり、次回の来院日は診察結果をもとに決まります。そのため、胚移植日や通院日をあらかじめ確定することは難しく、妊娠判定までの通院回数は5〜7回程度が目安です。

低刺激周期

低刺激周期では、薬を使用して卵胞の発育や排卵を促し、ご自身の卵巣から分泌されるホルモンによって子宮内膜を整えます。

自然周期と同様に、卵胞の発育や排卵の時期を確認しながら治療を進めるため、通院日や胚移植日が直前に決まることがあります。妊娠判定までの通院回数は5〜7回程度が目安です。

ホルモン補充周期

ホルモン補充周期では、ホルモン剤を使用して子宮内膜を整えます。

薬によって子宮内膜を安定して形成できるため、治療開始時に立てたスケジュールどおりに進めやすく、妊娠判定までの通院回数も4回程度と少ないことが特徴です。仕事や予定に合わせて通院日や胚移植日を調整しやすいため、通院スケジュールを事前に把握しておきたい方にも適しています。

  自然・低刺激周期 ホルモン補充周期
メリット
  • 薬が少ない
  • ご自身のホルモンで子宮内膜を整えられる・流産率が低い傾向や、癒着胎盤・妊娠高血圧症候群などの周産期合併症が少ない傾向を示した報告がある
  • スケジュールどおり進めやすい
  • 通院回数が少ない
  • 仕事や予定を調整しやすい
デメリット
  • ホルモン補充周期に比べて、卵胞の発育不全や子宮内膜が十分に厚くならないこと、予期せぬ排卵などにより、胚移植が中止となる可能性が高い
  • ホルモン剤を使用する
  • 自然・低刺激周期と比べ、流産率や一部の周産期合併症が高い傾向を示した報告がある
通院回数 5〜7回程度 約4回程度
日程 排卵に合わせるため変動しやすい あらかじめ決めた日程で進めやすい
向いている方 薬をできるだけ少なくしたい方 仕事をしながら治療したい方予定を立てて通院したい方

仕事と治療を両立するためのポイント

体外受精では、採卵周期・胚移植周期ともに複数回の通院が必要です。仕事をしながら治療を受ける場合は、通院が増えやすい時期や体調の変化をあらかじめ知っておくと、予定を調整しやすくなります。

急な通院が必要になりやすい時期を知っておく

体外受精では、急な通院が必要になりやすい時期があります。仕事との両立を考えるうえで、あらかじめ把握しておくと安心です。

  • 採卵周期:採卵日を決める前は、卵胞の発育に合わせて診察日が決まるため、予定より受診回数が増えたり、診察日が直前に決まったりすることがあります。
  • 自然周期・低刺激周期の胚移植:排卵や子宮内膜の状態に合わせて移植日を決定するため、移植前に複数回の診察が必要になることがあります。

一方、ホルモン補充周期では、ホルモン剤で子宮内膜を整えるため、あらかじめ治療スケジュールを立てやすく、仕事との両立がしやすいことが特徴です。

採卵前後は体調の変化にも備えておく

採卵前の卵巣刺激中は、卵胞が大きくなることでお腹の張りや違和感を感じることがあります。また、ホルモン剤の影響などにより、気分が悪くなったり、だるさを感じたりする方もいます。さらに、採卵後は当日から翌日にかけて下腹部痛やお腹の張りを感じることがあります。

症状の程度には個人差がありますが、採卵前後は無理をせず、重い物を持つ作業や長時間の立ち仕事など、体への負担が大きい仕事はできるだけ避けましょう。

採卵日は仕事を休むことをおすすめします

採卵日は、朝から昼頃までクリニックで過ごすことになります。また、採卵後は腹部の張りや軽い痛みが出ることがあります。

そのため、採卵日は仕事を休み、ゆっくり体を休めることをおすすめします。 どうしても難しい場合でも、少なくとも半日程度は予定を空け、無理のないスケジュールを組むようにしましょう。

不妊治療連絡カードを活用する

仕事をしながら不妊治療を受ける方は、厚生労働省の「不妊治療連絡カード」を活用する方法もあります。

不妊治療連絡カードは、主治医が治療内容や勤務上配慮が必要な事項を記載し、勤務先へ伝えるための書類です。急な通院や定期的な受診が必要な場合に、休暇制度や両立支援制度の利用を相談する際の参考資料として活用できます。

勤務先へ治療について伝えるかどうかは本人の判断ですが、仕事との両立に不安がある場合は、このような制度を利用することも選択肢の一つです。なお、当院での不妊治療連絡カードの作成費用は3,300円(税込)です。

まとめ

体外受精1回にかかる期間は、採卵から妊娠判定まで約2~3か月が目安です。採卵周期・胚移植周期を合わせると、通院回数は9~13回程度になります。

ただし、実際のスケジュールや通院回数は、卵胞の発育や治療方法によって変わります。採卵前や自然周期・低刺激周期の胚移植では急な通院が必要になることもあるため、仕事や予定との両立を考える際は、あらかじめ余裕を持ったスケジュールを立てておくと安心です。

当院では、患者さん一人ひとりの状況に合わせて治療計画をご提案しています。体外受精のスケジュールや仕事との両立について不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。

当院での体外受精の治療内容や妊娠実績については、こちらのページをご覧ください。

よくあるご質問

回答

多くの方が仕事を続けながら治療を受けています。採卵に向けた周期では、卵胞の育ち具合に合わせて受診日や採卵日が決まるため、急な通院が必要になることがあります。一方、ホルモン補充周期での胚移植は日程を事前に決めやすいことが多く、お仕事との予定も調整しやすい傾向があります。治療内容や働き方に合わせてスケジュールをご提案しますので、診察時にご相談ください。

回答

卵胞の育ちを確認しながら決めるため、多くの場合2~3日前の確定になります。採卵の2日前の夜には、卵子を成熟させる薬(トリガー)を自宅で使用します。

回答

いいえ。
基本的な流れは同じですが、毎回同じスケジュールになるわけではありません。卵胞の育ち具合やホルモン値に合わせて受診日や採卵日が決まるため、周期によって通院回数や日程が変わることがあります。また、凍結した受精卵(胚)がある場合は採卵を行わず、胚移植のみを行います。

回答

「体外受精1回」を採卵から妊娠判定までとすると、約2~3か月が目安です。
多くの場合は、採卵後に受精卵(胚)を凍結するまでに約1か月かかり、その次の月経周期に胚移植と妊娠判定を行うため、さらに約1か月かかります。なお、採卵と同じ周期に胚移植を行う新鮮胚移植では、月経開始から約4~5週間で妊娠判定まで進みます

回答

診察内容によって異なりますが、受付から会計までの目安は、診察のみで約1.5時間、採血と診察がある場合(採卵周期の初めなど)は平日約2.5時間、土曜・祝日は約3時間、注射や採血のみの場合は約30分です。
採卵日は半日程度、胚移植は約2時間程度を見込んでいただくと安心です。
なお、土曜・祝日は平日より待ち時間が長くなる傾向がありますので、お時間に余裕をもってお越しください。

回答

はい、遠方から通院されている方も多くいらっしゃいます。
多くの場合、卵巣刺激の注射は自己注射で行うため、ご来院の必要はありません。また、受精・培養の経過はメールでお知らせするため、その都度ご来院いただく必要もありません。

一方で、採卵周期は卵胞の育ち具合に応じて受診日や採卵日が決まるため、急な通院が必要になることがあります。遠方から通院される場合は、交通手段やご予定などを調整いただけますと幸いです。必要に応じてオンライン診療もご利用いただけますので、通院方法については診察時にご相談ください。

回答

はい、治療できます。 月経周期が不規則な方でも、お薬などを使って月経周期を整えながら治療を進めることができます。