記事・コラム
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2026.07.11
提供精子による生殖補助医療のガイドライン
本ガイドラインは、2026年8月1日時点の法令等を踏まえ、子どもの利益を最優先に策定しています。ただし、特定生殖補助医療法が成立した場合は、法律が優先されるため、法律の施行までにガイドラインを見直します。 はじめに 0.はじめに 1.提供精子による生殖補助医療とは 0.はじめに 本ガイドラインは、当院が提供する提供精子による生殖補助医療について、その考え方、制度、治療の流れをご理解いただくために作成しています。 当院は、生殖医療で作られる家族のその先まで見据えた医療を目指しています。そのため、本ガイドラインでは、その考え方に基づいて定めた制度や治療の進め方についてご説明します。 提供精子による生殖補助医療を検討されているご夫婦には、本ガイドラインをご一読いただき、当院の考え方をご理解いただいたうえで、ご共感いただける場合に限り当院での治療をご選択いただければ幸いです。 1.提供精子による生殖補助医療とは 提供精子による生殖補助医療とは、夫が無精子症などの絶対的男性不妊である場合や、性別変更に伴い精子がない場合に、第三者から提供された精子を用いて子どもを授かるための治療です。 提供精子を用いた治療方法には、AIDとIVF-Dの2つがあります。 AID 提供精子による人工授精のこと IVF-D 提供精子による体外受精(顕微授精)のこと 提供精子には、「非匿名」と「匿名」の2種類があります。当院は2026年8月より提供精子を完全非匿名化します。 非匿名 出生した子どもが成人後に希望した場合、当院仲介のもとで、連絡できる(メール・電話・手紙・直接会う)ドナーの提供精子 匿名 出生した子どもが成人後に希望しても、連絡できないドナーの提供精子 当院について 2.当院の提供精子による生殖補助医療について3.当院の考え方 2.当院の提供精子による生殖補助医療について ①当院は、日本産科婦人科学会の提供精子における登録施設 ②AID・IVF-D実施件数 AID年間約450~550件 (AIDは1997年開始) IVF-D(採卵+胚移植)年間約200~250件 (IVF-Dは2022年開始) ※当院が実施する人工授精・体外受
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2026.07.09
高濃度ヒアルロン酸含有培養液とは?効果や費用、保険適用について
体外受精では、良好な胚を移植しても妊娠に至らないことがあります。妊娠の成立には、胚の質だけでなく、胚が子宮内膜に着床しやすい環境が整っていることも重要です。 そのため、胚移植時には着床をサポートするさまざまな方法が用いられます。その一つが高濃度ヒアルロン酸含有培養液です。 高濃度ヒアルロン酸培養液は、胚移植時に使用する培養液を通常のものよりも高濃度のヒアルロン酸を含む培養液に変更する方法で、胚と子宮内膜の接着を助け、着床しやすい環境づくりを目的としています。 この記事では、高濃度ヒアルロン酸含有培養液の仕組みや期待できる効果、研究結果、当院での実施方法や費用について解説します。 高濃度ヒアルロン酸含有培養液とは 高濃度ヒアルロン酸含有培養液の使い方 高濃度ヒアルロン酸含有培養液とは、胚移植の際に使用する培養液に、高濃度のヒアルロン酸を含ませた培養液です。 ヒアルロン酸は、皮膚や関節だけでなく、卵子を取り囲む卵丘細胞や子宮内膜にも存在する成分で、高い保水性と粘性を持っています。そのため、生殖医療の分野では、培養中や胚移植時に胚を保護する目的で広く利用されています。 胚移植では、移植直前に胚を高濃度ヒアルロン酸含有培養液へ一定時間浸してから子宮内へ戻します。患者様が受ける処置は通常の胚移植と変わらず、使用する培養液のみが変更されます。 高濃度ヒアルロン酸含有培養液は、胚の質を改善するものではありません。胚が本来持つ力を発揮しやすい環境を整え、着床をサポートすることを目的として使用されます。 なお、高濃度ヒアルロン酸を含む胚移植用培養液として「EmbryoGlue(エンブリオグルー)」が広く知られていますが、これは製品名です。 着床をサポートする理由 胚が着床するためには、胚と子宮内膜が互いに認識し、接着することが必要です。ヒアルロン酸は、この過程で重要な役割を担うと考えられています。 ヒアルロン酸は、胚と子宮内膜の両方に存在するCD44(ヒアルロン酸受容体)と結合することで、胚と子宮内膜の相互作用を促し、着床初期の接着やシグナル伝達をサポートすると考えられています。 さらに、高い保水性と粘性により、培養中や胚移植時に胚を物理的・化学的ストレスから保護する働きも期待されていま
- 体外受精
- 先進医療・オプショナル治療
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2026.07.09
ガイドライン改定(第3弾)治療の進め方・運用ルールの見直しについて
当院では、2026年8月1日より「提供精子による生殖補助医療のガイドライン」を改定します。 改定内容が多いため、これまで2回に分けてお知らせしてまいりました。今回は第3弾として、ガイドライン改定に関する最後のお知らせです。 第3弾の変更点 ①IVF-Dに6か月休止制度を新設 3か月ルールとその理由 IVF-Dでは、採卵から胚移植までなど、各治療・手続きを3か月以内に進めていただく「3か月ルール」を設けています。 このルールは、限りある提供精子を有効に活用し、より多くのご夫婦へ公平に治療機会を提供するためのものです。IVF-Dでは、採卵で得られた凍結胚も将来生まれる可能性のある子どもとして管理しています。そのため、凍結胚が残っている間は、提供精子に十分な在庫があっても、そのドナーを新たなご夫婦へ割り当てることができません。この状態が長期間続くと、新たに治療を開始できるご夫婦が減ってしまう可能性があります。 このため、これまでは病気など医学的な理由がある場合に限り、3か月を超えて治療を休止することを認めていました。 6か月休止制度の新設 現在は、非匿名提供精子のストック数に一定の余裕があることから、8月1日の改定以降は、医学的理由がない場合でも、生涯1回に限り、最長6か月まで治療を休止できる制度を新設します。 具体的な方法 医学的理由以外で3か月を超え、6か月以内の休止を希望する場合は、3か月の期限内に、夫婦一緒に医師の診察を受け、「IVF-D6か月休止制度の申請書」をご提出ください。オンライン診療をご利用の場合は、診療日までに当院必着でお送りください。 医師が申請内容を確認し、休止を認めた場合は、3か月ルールの起算日(前回の採卵日や胚移植日など)から最長6か月(6か月後の同日まで)、生涯1回に限り休止することができます。 休止期間中に年齢上限へ達した場合は、その時点で治療は終了します。 「IVF-D6か月休止制度の申請書」は、7月28日以降、ホームページの「通院中の方」→「AID・IVF-D関連」から印刷してご使用ください。使用開始日は8月1日以降です。 ②各取り組みの有効期限を設定 本治療ではガイドラインや治療内容の見直しが年1回程度あります。また、長期間
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2026.07.11
AID・IVF-Dガイドライン改定のよくある質問
ガイドライン改定に関する70件以上のよくある質問を掲載。患者様からのご質問をもとに随時追加・更新しています。目次からご覧になりたいカテゴリーをお選びください。 当院では、2026年8月1日より、提供精子による生殖補助医療のガイドライン第8版への改定を予定しています。こちらは以下の記事に関するよくある質問(FAQ)のページです。 2026年6月19日(第1弾)完全非匿名化と匿名AIDの今後 2026年7月5日(第2弾)子どもへの支援・提供精子の選定方法の変更 2026年7月9日(第3弾)治療の進め方・運用ルールの見直し ガイドライン改定について Q. ガイドライン第8版は、いつ全文が公開され、適用されますか?ガイドライン第8版の全文は2026年7月下旬にメール配信とホームページで公開予定です。また、2026年8月1日より適用します。 Q. 特定生殖補助医療法が成立した場合、ガイドラインはどうなりますか?特定生殖補助医療法が成立・施行された場合は、法律が当院のガイドラインより優先されます。そのため、法律や関連する政省令、学会の指針などを踏まえ、当院のガイドラインも法律に合わせて見直します。現在報道されている法案の内容を前提とした場合、子どもの出自を知る権利に関する当院独自の取り組みは、以下のとおり、法律で定められる制度の内容へ変更される見込みです。当院としては現在のガイドラインを継続したいと考えていますが、法律が成立・施行された場合は法的拘束力が生じるため、当院の方針にかかわらず法律に従わなければなりません。 内容 当院のガイドライン 特定生殖補助医療法案 未成年で知れるドナー情報 ドナーの身長、体重、体の特徴、血液型、趣味特技、職業、精子を提供する理由、3親等以内の病歴 なし 成人すると知れるドナー情報 当院仲介のもと、子はドナーと連絡(メール・電話・手紙・会う)ができる ドナーの身長・血液型・年齢など 治療時のドナー精子の選定方法 夫婦から生まれる可能性のある子どもの血液型に合わせたドナー精子を選定 なし ドナーの国籍 日本国籍を有する者※ マイナンバーカードを持つ者。外国人の場合は在留期間が無期限の者 Q. ガイドライン変更により、自分がどの治療を選択できるかわかりま
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2026.07.04
ガイドライン改定(第2弾)子どもへの支援と提供精子選定方法の変更について
当院では、2026年8月1日より、提供精子による生殖補助医療のガイドライン第8版への改定を予定しています。 6月19日には、ガイドライン改定のお知らせ第一弾として、「完全非匿名化と匿名AIDの今後」についてご案内しました。まだご確認されていない方は、先にこちらのページをご覧ください。 第2弾となる今回は、ガイドライン改定のうち、新たに始まる子どもへの支援と、提供精子の選定方法の変更についてご案内します。 第2弾の変更点 以下に、今回の変更内容と、その理由について詳しくご説明します。 ①同じドナーによる子ども同士の繋がりについて 当院では、「非匿名の提供精子」、または「ドナー周辺情報の開示可能な匿名提供精子」による子どもが、15歳以上となり希望した場合に、同じドナーによる子ども(Donor Siblings・ドナーシブリング)同士が繋がれる制度として、HARA Donor Sibling Link を2038年頃から開始する予定です。 HARA Donor Sibling Linkとは HARA Donor Sibling Linkは、はらメディカルクリニックの提供精子により生まれたDonor Sibling(同じドナーによる子ども)同士が、将来、希望に応じて繋がることのできる制度です。 海外では、Donor Siblings(ドナーシブリング)が交流できる仕組みが広く設けられており、自分と同じ遺伝的ルーツを持つ人との出会いは、子どもにとって大切な支えになると考えられています。当院でも、この考え方を取り入れ、本制度を開始する予定です。 HARA Donor Sibling Linkの参加要件 安全に繋がるためには、ドナーシブリング同士の間で、出自の受け止め方や理解に大きな差が生じないことが重要だと考えています。そのため、HARA Donor Sibling Linkへの参加には、次の要件を満たしていることを予定しています。 幼少期から計画的に、繰り返し告知を受けていること 夫婦が絵本作成会に参加し、子どもが「ねえ、しってる?」の絵本を持っていること 3歳と6歳の発達・家族フォローを受けていること 制度の開始は2038年頃を予定していますが、参加要件となる取り組みは
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2026.06.29
ERA検査とは?着床受容期を調べる検査
体外受精で良好な胚(受精卵)を移植したにもかかわらず妊娠に至らない場合、「なぜ着床しないのだろう」と悩まれる方も少なくありません。 着床しない原因はさまざまで、最も多いのは胚そのものの異常とされています。しかし、良好胚を移植しても着床しない場合には、子宮内膜側の要因が関係していることもあります。その一つが「着床受容期(着床の窓)」のずれです。 ERA(Endometrial Receptivity Analysis)検査は、一人ひとり異なる着床受容期を調べ、胚移植に適したタイミングを明らかにする検査です。 この記事では、ERA検査の仕組みや対象となる方、検査の流れ、検査で分かることについて詳しく解説します。 ERA検査とは ERA(Endometrial Receptivity Analysis)検査とは、子宮内膜が胚を受け入れられる状態(着床受容期)になっているかを遺伝子レベルで調べる検査です。 通常、胚移植は着床しやすいとされる標準的な時期に行われます。しかし、このタイミングには個人差があり、人によっては標準より早かったり遅かったりすることがあります。 ERA検査では、子宮内膜の組織を採取し、着床に関係する248種類の遺伝子の発現を解析します。その結果から、その方にとって最適な胚移植のタイミングを推定します。なお、ERA検査はスペインの検査会社「Igenomix(アイジェノミクス社)」で解析されます。 着床の窓(着床受容期)とは 着床の窓(Window of Implantation)とは、胚が子宮内膜に着床できる限られた期間のことです。 胚はいつでも子宮内膜に着床できるわけではありません。子宮内膜が十分に成熟し、胚を受け入れられる状態になった短い期間だけ着床が成立します。一般的には、排卵から5~6日後が着床受容期とされています。 子宮内膜は、エストロゲンによって厚くなった後、プロゲステロン(黄体ホルモン)の作用を受けて着床に適した状態へ変化します。しかし、この変化のタイミングには個人差があり、着床受容期が標準より早く訪れる方もいれば、遅く訪れる方もいます。 そのため、標準的なスケジュールで胚移植を行っても、その方にとって最適なタイミングとは限りません。 ERA検査では、子宮内膜の組
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2026.06.26
不妊治療の種類と選び方|タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精
不妊治療にはさまざまな方法があり、ご夫婦の年齢や不妊の原因、検査結果、ライフスタイルなどを総合的に考慮して適した治療を選択します。近年では、2022年4月から体外受精・顕微授精を含む多くの不妊治療が保険適用となり、不妊治療は以前より身近な選択肢となりました。 一方で、「まずはタイミング法から始めるべき」「人工授精を何回か受けてから体外受精へ進む」といったイメージをお持ちの方も少なくありません。しかし、年齢や検査結果によっては、最初から体外受精を選択した方が妊娠への近道となるケースもあります。 また、不妊の原因は女性だけにあるわけではありません。男性側の要因も約半数のカップルに関係しているとされており、ご夫婦で検査・治療に取り組むことが重要です。 この記事では、不妊治療をこれから検討している方に向けて、不妊症の基礎知識から治療法の種類、それぞれの特徴や選び方、不妊治療の流れまでを分かりやすく解説します。 不妊治療とは? 不妊症とは 不妊症とは、妊娠を希望する男女が避妊をせずに一定期間性生活を続けても妊娠に至らない状態をいいます。 日本では、日本生殖医学会が「1年間妊娠しない場合」を不妊症の目安としています。そのため、1年間妊娠しない場合には、自然妊娠が難しい原因が隠れている可能性があり、検査や治療を検討することが推奨されています。 なお、不妊症と診断されたからといって、必ずしも自然妊娠ができないわけではありません。不妊治療では、ご夫婦それぞれの状態を詳しく調べ、妊娠を妨げている原因に応じた治療を行うことで妊娠の可能性を高めていきます。 不妊の原因 「不妊治療は女性が受けるもの」というイメージを持たれることがありますが、実際にはそうではありません。 日本生殖医学会では、不妊の原因は以下に分類されています。 女性側の要因 男性側の要因 男女双方の要因 原因が特定できない場合 女性側では、排卵障害、卵管の通過障害、子宮内膜症、子宮筋腫、加齢による卵子の質の低下などが代表的な原因です。一方、男性側では、精子の数や運動率の低下、精索静脈瘤、無精子症などが挙げられます。 近年では、男性因子は約半数のカップルに関与していることが分かっており、女性だけでなく男性も早い段階で精液検査を受
- 不妊治療
- 不妊症の検査・治療
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2026.06.24
タイムラプス培養とは?妊娠率やメリット・デメリットを解説
体外受精や顕微授精では、受精卵(胚)を数日間培養してから子宮へ戻します。この培養期間中の胚の発育をより詳しく観察できる方法が「タイムラプス培養」です。 タイムラプス培養は、胚を培養器から取り出すことなく連続的に観察できる技術で、現在では先進医療としても認められています。 「タイムラプス培養をすると妊娠率は上がるの?」「通常の培養との違いは?」「自分にも必要なの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。 この記事では、タイムラプス培養の仕組みやメリット・デメリット、妊娠率への影響、当院での取り組みについて解説します。 タイムラプス培養とは 従来の培養との違い タイムラプス培養とは、専用の培養器に搭載されたカメラで胚を一定間隔ごとに撮影し、発育の様子を連続的に観察できるシステムです。 通常の培養では、胚の状態を確認するために培養器から胚を取り出して顕微鏡で観察します。一方、タイムラプス培養では胚を培養器から出すことなく観察できるため、より安定した環境で培養を続けることができます。 タイムラプス培養でわかること・メリット 胚へのストレスを減らせる 胚は温度や二酸化炭素濃度などの培養環境の変化に影響を受けます。通常培養では観察のたびに培養器から胚を取り出しますが、タイムラプス培養では培養器内で観察が完結します。 そのため、環境変化による胚へのストレスを軽減できると考えられています。 胚の発育を詳しく観察できる タイムラプス培養では、胚の発育を10分ごとなど短い間隔で記録できます。 通常の培養では観察時点の状態しか確認できませんが、タイムラプス培養では受精から胚盤胞までの過程を動画として確認できます。 具体的には以下のような情報を得ることができます。 前核の数や、出現・消失のタイミング 細胞分裂のスピード 分割のパターン 異常な分裂の有無 胚盤胞までの発育過程 胚の成長過程を連続的に確認できることは、タイムラプス培養の大きな特徴です。 胚評価の精度向上につながる 胚の評価では、見た目だけでなく発育の過程も重要な情報になります。タイムラプス培養では、細胞分裂のタイミングや発育速度などの情報を記録できるため、より多くの
- 体外受精
- 先進医療・オプショナル治療
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2026.06.22
採卵とは?流れ・痛み・採卵後の過ごし方を解説
体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)をする際に欠かせない治療のひとつが「採卵」です。初めて採卵を受ける方の中には、不安や疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。この記事では、採卵の役割や流れ、痛み、採卵後の注意点について詳しく解説します。 採卵とは 採卵とは、卵巣内で育った卵胞から卵子を採取する手術のことです。体外受精や顕微授精では、採取した卵子と精子を体外で受精させるため、採卵は治療の第一歩となります。経腟超音波で卵胞の位置を確認しながら細い針を挿入し、卵胞液とともに卵子を回収します。 体外受精の流れ 体外受精は大きく以下の流れで進みます。 卵巣刺激 採卵 受精(体外受精・顕微授精) 胚培養 胚移植 妊娠判定 採卵は、受精に必要な卵子を採取する重要なステップです。良好な卵子を採取できることが、その後の受精や胚発育にもつながります。 卵子は減らない? 「採卵をすると卵子が減ってしまうのでは?」と心配される方もいらっしゃいます。 しかし、採卵によって将来排卵される予定の卵子を前倒しで使っているわけではありません。女性の卵巣では毎月たくさんの卵胞が育ち始めますが、自然に排卵されるのは通常1個だけです。それ以外の卵胞は発育途中で自然に消失してしまいます。 体外受精では、排卵誘発剤を用いてその周期に育ち始めた複数の卵胞を発育させ、本来であれば消失するはずだった卵子も含めて回収します。 そのため、採卵によって将来の卵子を前借りしたり、卵子を余計に減らしたりするわけではありません。 採卵までの流れ 排卵誘発剤を使用し、複数の卵胞を育てます。 超音波検査やホルモン検査で卵胞の成長を確認します。 卵胞が十分に成熟したら、卵子の最終成熟を促す注射を行います。 トリガー注射から約36時間後に採卵を行います。 採卵当日の流れ 採卵当日は、ご来院後に超音波検査を行い、卵胞の状態を確認します。 その後、安静室へご案内し、術着にお着替えいただきます。準備が整いましたら手術室へ移動し、静脈麻酔を行ったうえで採卵を開始します。 採卵では、経腟超音波で卵胞の位置を確認しながら細い針を用いて卵胞を穿刺し、
- 不妊治療
- 不妊症の検査・治療
- 体外受精
- 卵子凍結
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2026.06.24
体外受精は痛い?採卵・胚移植の痛みと対策を医師が解説
「体外受精って痛いの?」「痛みに弱くても大丈夫?」 体外受精を検討するとき、多くの方が最初に感じるのが「痛みへの不安」です。これは当然の疑問です。採卵は膣から針を刺しますし、卵巣刺激の注射も連日続くことがあります。 結論からお伝えすると、感じ方には個人差がありますが、現在の体外受精では、細い針や麻酔、鎮痛処置の進歩により、多くの方で痛みを大幅に軽減できるようになっています。 ただし、どの処置でどの程度の痛みがあるかを事前に知っておくことで、不安はぐっと和らぎます。 この記事では、体外受精の各ステップにおける痛み・麻酔の種類・当院の痛みへの取り組みを、正直に・具体的に解説します。 処置別・痛みレベル早見表(当院での目安) 処置・検査 痛みの目安 麻酔 感じ方の目安 採血・血液検査 ★☆☆☆☆ なし 一般的な採血 経腟超音波検査 ★☆☆☆☆ なし 軽い圧迫感のみ ペンタイプ自己注射 ☆☆☆☆☆ なし 痛みはほぼ感じない 自己注射 ★★☆☆☆ なし チクッとする程度。慣れると苦にならない 人工授精 ★★☆☆☆ なし チューブの挿入よりも、腟を広げるための器具(クスコ)で痛みを感じる場合がある 採卵(静脈麻酔下) ★☆☆☆☆ 静脈麻酔 眠っている間に終了。術後に鈍痛の場合は痛み止めを使用 採卵(局所麻酔下) ★★★☆☆ 局所麻酔 鋭い痛みを感じる場合も。短時間なら耐えられる 採卵(無麻酔) ★★★★☆ なし 強い痛みを伴うことがある。採卵数が少いとすぐ終われる 胚移植 ★☆☆☆☆ なし チューブの挿入よりも、腟を広げるための器具(クスコ)で痛みを感じる場合がある 子宮鏡検査 ★★☆☆☆ なし 痛み止め座薬を使用すれば多くが軽減できる 卵管造影検査 ★★★★☆ なし バルーン圧迫により強めの痛みを感じる場合がある ※痛みの感じ方には大きな個人差があります。上記はあくまでも目安です。※子宮の入口(子宮頸管)が強く曲がっている場合は、人工授精や胚移植でカテーテルが通りにくくなります。その際は、子宮頸部を引っ張って角度を調整するため、強い痛みを感じることがあります。しかし、精子や胚を適切な位置へ届けるために必要な処置です。※性交経験のない方は、経腟超音波検査による痛みを避け