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不妊症とは|症状や男女別の原因を知り正しい不妊治療を

検査・治療

不妊症とは

不妊症とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態のことを言います。この一定期間を日本産婦人科学会は「1年」としており、米国不妊学会では、35歳以上の女性については「6か月」としています。
避妊をせずに、カップルが性生活を続けると1年で80%のカップルが妊娠します。しかし20%の方はなかなか妊娠に至りません。この20%の人達はその後いくら性交渉をしても自然に妊娠する可能性は低くなるため、なんらかの治療をしましょうという意味で不妊症という診断をします。また、この20%というのは「妊娠を望むカップル」を対象とした数字ですので、近年妊娠を考える年齢が上昇していることからも不妊症の割合はもっと高いとも言われています。
不妊症は病気ではなく症候群です。症候群とは原因などとは関係なく、同じような症状の人が多くいる場合にその状態に名前を付けているものです。つまり、検査をして原因が見つかった場合に「不妊症」と診断されるのではなく、一定期間性生活をしているのに中々妊娠できない状態が不妊症なのです。

不妊症と病気の違いについて

一般的に病気というと、どこかに痛みや違和感を感じることからはじまり、検査をして原因が分かり、その原因を取り去るための治療をします。しかし不妊症は妊娠しない状態のことを言いますので、痛みや違和感というのはほとんどなく、日常生活では気づくことはありません。そして不妊症は検査をしてもその原因を特定できないことが多いことも一般的な病気と違う点です。
なぜ検査をしても原因が特定できないことが多いのかというと、精子と卵子が出会い、妊娠にいたるまでの過程は、現在の医学ではまだ解明されていない部分があるからです。また、解明されていても卵管内や子宮内の現象は検査をする方法がなく調べる術がないためです。
妊娠にいたるまでの過程は①女性の卵巣で卵胞が発育し、②20ミリ前後まで発育した卵胞から卵子が飛び出す排卵が起こり、③排卵した卵子が卵管に取り込まれ、④卵管で卵子と精子が出会い受精、⑤受精卵は卵管内で細胞分裂を繰り返しながら子宮に移動、⑥子宮に移動した受精卵が子宮内膜と接着して着床。⑦着床した受精卵が完全に子宮内膜の中に入り込むと妊娠成立ということになります。妊娠に至らないカップルはこれらの①~⑦の過程のどこかで問題が起こり「不妊症」となっているはずです。
不妊治療では、調べられる範囲の検査を実施し、原因がわかった場合はその治療をします。調べられないところや、原因がわかっても根本治療が行えない場合は、それらを補助する治療を行うことで妊娠の可能性を高め、カップルの妊娠成立をサポートしていきます。

不妊症の症状

先にもお伝えした通り、不妊症とは1年間(35歳以上の場合は6ヵ月以上)避妊をせず性交渉を行っているにもかかわらず妊娠しない状態をいいます。しかし、以下のような症状がある場合は1年や6ヵ月を待たず不妊症を疑い早めに不妊治療専門施設に相談しましょう。

女性の症状(あくまで一例です)

月経の間隔が長い(36日以上)、もしくは短い(24日以下)

このような場合、排卵が出来ていない「無排卵」の可能性があります。これは何らかの原因により十分なホルモンが分泌されないホルモン異常です。無排卵の場合、卵子と精子は出会うことすら出来ません。

月経痛が非常に強く市販の痛み止めでは効果がない

強い月経痛、そして時には腰痛、排便通がある場合は子宮内膜症の可能性があります。子宮内膜症とは、本来、子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜組織が、子宮以外の場所で月経のような増殖、剥離(はくり)を繰り返す病気です。月経のときには出⾎が起こりますが、子宮内膜症が子宮以外で起こっているところではその血液を外に出すことができないため、古い血液がたまって炎症や他の組織との癒着が起こり不妊の原因となります。子宮内膜症が卵巣で発生した場合をチョコ―レート嚢腫といいます。この場合は卵子の質の低下も問題となります。また、癌化のリスクもあるためこのような症状がある方は早期に専門機関を受診してください。

月経の量や期間が異常

月経の量が極端に多い過多月経の目安としては、1~3時間置き、また夜中に途中でナプキンを交換する必要がある場合です。長期間出血している過長月経の目安は出血が8日以上続く場合です。このような場合は子宮筋腫がある可能性があります。子宮筋腫は35歳以上の女性の多くに存在し、その多くは問題がないのですが、筋腫ができている場所によっては着床を妨げ不妊の原因となる場合もあります。また、月経の量が非常に少ない、あるいは出血している期間が短い(2日以内)場合には、ホルモンが十分に分泌されていないホルモン異常の可能性があります。

性感染症に似た症状がある

クラミジアに代表される性感染症は卵管采や卵管の癒着を引き起こすことがあります。卵管采は卵巣から排卵された卵子を卵管に取り込む役目を担っているため、卵管采が他の組織と癒着し機能しないとなると、卵子は卵管へ到達することができません。また、卵管が癒着し塞がってしまうと、精子が通ることができなくなり卵子と受精することはありません。

男性の症状(あくまで一例です)

陰嚢が腫れている・熱を持っている・痛みや違和感がある・左右差がある

精索静脈瘤の可能性があります。精索静脈瘤とは精巣(精子を作る工場)やその上の精索部に静脈瘤(静脈のコブ)が出来ることで血流が悪くなり、精巣温度の上昇などで精子濃度の減少、精子運動率の低下など精巣機能が悪くなる症状のことです。精子の状態が悪いと、卵子と正常に受精できる可能性は低くなります。

精液量が極端に少ない

逆行性射精が疑われます。逆行性射精とは射精時に精液が体外ではなく、体内(膀胱内)へ戻ってしまう症状のことをいいます。逆行性射精でも少量は射精されますが、その量で卵子と正常に受精できる可能性は低いです。逆行性射精の場合には、膀胱内で射精された精子は尿と一緒に排出されます。

これらはあくまで一例ですが、ほとんどの不妊症は普段生活の中は中々自分で気づくことはできません。将来の人生設計のために、まずは自分の身体が妊娠しやすい状態にあるのかどうかについて調べてみることをおすすめします。

不妊症の原因

不妊症の原因は女性側と男性側にそれぞれ存在し、代表的なものは以下の通りです。

女性側の原因

排卵因子

ホルモンバランスに問題があり卵巣で卵胞が育たない、排卵(卵胞から卵子が飛び出し卵巣を出ること)が起こらないなど。月経不順の方はこの場合が多く、ホルモン剤を投与して治療していきます。

卵管因子

卵管とは卵巣と子宮をつなぐパイプのような部分のことです。細菌感染などによって卵管がふさがると精子が卵子に到達出来きず受精がおこりません。卵管を通す手術や検査を行い治療します。もしくは体外受精を行うことによって卵管を通ることなく受精させる方法もあります。

子宮因子

子宮内膜ポリープ
子宮腺筋症
子宮内膜を圧迫した子宮筋腫

子宮に出来た筋腫やポリープ、子宮の形に問題があることなどが原因で、受精卵が着床出来ません。子宮筋腫は月経痛・便秘・月経過多などの症状がみられ、筋腫がある場所によっては妊娠に影響がない場合もあります。子宮内膜ポリープは無症状のことが多いのですが、不正出血・月経過多などの原因になることがあります。必要に応じて切除します。

頸管因子

頸管とは子宮の入り口で、膣と子宮腔をつなぐ部分です。排卵が起こる時期には粘り気のある頸管粘液(おりもの)が分泌され、精子の運動を促し、通りやすくしてくれますが、この粘液の粘りが強く、精子が子宮に進入出来なかったり、精子を弱らせてしまうことがあります。

男性側の原因

機能不全

勃起障害(ED)や射精時に精子が逆流して体外にでないなど。主に薬物療法にて治療します。

精路通過障害

精子が体外に出るまでの通り道に何らかの障害があり、閉鎖性無精子症(精液中に全く精子が認められない状態)や乏精子症(精液中の精子数が基準に満たない)を引き起こします。通り道の障害を取り除く手術が奏効すれば、精液所見は正常化し自然妊娠が期待できる場合もあります。

造精機能障害

男性に見合られる不妊原因の多くは造精機能障害(精子をつくる機能に障害)にあると言われています。陰嚢内にできた静脈のコブ(精索静脈瘤)によって、精子の形成に支障をきたしている場合や、精子を作っている工場である精巣で精子が作られていない場合などが挙げられます。また、日常生活のストレスや生活習慣も造精機能を低下させる要因となりえます。

副性器障害

精巣上体(精子を貯蔵する場所)、前立腺(前立腺液という精液の一部を作る場所)、精嚢(精嚢液という精液の一部を作る場所)などの臓器の機能不全のことです。各々の病態に合わせた薬物療法が必要です。