不妊症・男性不妊・人工授精・体外受精・胚移植・AID・精子バンク等の不妊治療・不妊専門クリニック。

精子凍結とは|対象者と凍結期限、費用について

不妊症の検査・治療

精子凍結とは、精子をマイナス196度で凍結する方法です。凍結した精子は半永久的に保存可能で、医学的にもその安全性が立証されています。保存された精子は、人工授精や体外受精など、生殖補助医療に使用できます。

目次
  1. 不妊治療中の精子凍結について
  2. 将来に備えた精子凍結について
  3. MtFのための精子凍結について
  4. 病気治療による精子凍結について
  5. 費用・凍結の更新・他施設への移送

1.不妊治療中の精子凍結について

不妊治療において、人工授精や体外受精の当日に精子を用意できない場合、事前に精子を凍結保存しておき、治療時に使用できます。この場合、精子凍結は、通院中の不妊治療施設で行ってください。

予約方法

当院にて不妊治療中の方の精子凍結予約は、診療予約システム(https://yoyaku.atlink.jp/haramedical/login)に夫の診察券番号でログインし、「検査・治療」→「精子凍結」よりご予約いただけます。(夫の診察券番号は妻の診察券番号の最初の数字を「3」→「2」に変更した7桁)

凍結精子を使用するとき

不妊治療中の男性が、妻の不妊治療施設で精子凍結を行う場合、精子凍結の費用は自費となりますが、不妊治療(人工授精・体外受精・顕微授精)の費用は保険適用です。

2.将来に備えた精子凍結について

将来に備えて精子凍結を希望する男性は、独身・既婚に関わらず、当院で精子凍結を行うことができます。

将来に備えるメリット・デメリット

メリット

デメリット

精子凍結には、毎年の更新費用がかかります。また、凍結と融解によって運動精子の数が減少するため、凍結していない精子であれば人工授精が可能だった場合でも、凍結精子では顕微授精しか選べないことがあります。なお、精子は女性の卵子ほど年齢の影響を受けにくいとされています。そのため、将来に備えて精子を凍結するかどうかは、ご自身の状況を踏まえてご検討ください。

予約の方法|将来に備えた精子凍結

精子凍結の方法(https://www.haramedical.or.jp/content/freeze/reservation)をご確認いただき、ご予約をおとりください。必要な提出書類についてもご確認ください。

凍結精子を使用するとき|将来に備えた精子凍結

国内での凍結精子の使用は、婚姻関係にある夫婦間の不妊治療のみ認められています。婚姻関係のない第三者に使用することや、譲渡することはできません。精子を使用した不妊治療を開始する際には、妻の初診予約(https://www.haramedical.or.jp/first)をお取りください

将来に備えた精子凍結の費用は自費ですが、それを使用した不妊治療(人工授精・体外受精・顕微授精)の費用も保険適用外のため自費となります。

こちらは、当院で精子凍結を行ったインフルエンサーの方が、凍結を決めた理由や、実際の精子凍結までの様子をご紹介した動画です。参考としてご覧ください。【衝撃の事実】精子凍結する事にしました。

3.MtFのための精子凍結(女性ホルモン投与前・投与中)

性別違和により女性ホルモン投与前に、妊孕性温存を目的とした精子凍結保存が可能です。

女性ホルモンを投与前の場合

精子凍結を希望する場合、女性ホルモン投与を行う医療機関に相談し、医師の許可を得てください。当院で精子凍結を行う際に、紹介状は不要です。

既に女性ホルモン投与中の場合

女性ホルモンの急な中止について

女性ホルモンを投与中に精子凍結を行う場合、急にホルモン投与を中止するとホルモンバランスが大きく変化し、気分の不安定や体調の変化、健康リスクが生じる可能性があります。そのため、必ず女性ホルモンを投与している医療機関の医師に相談してください。おかかりの医療機関が無い場合は、新たにジェンダー外来を受診して、ホルモン投与の中止や再開について専門医と相談してください。

まずは精子検査を実施

医師から女性ホルモン中止の許可を得ましたら、以下より予約をおとりください。最初に精子検査を実施し、精子が認められれば、精子凍結を行うことができます。

予約方法|MtFのための精子凍結

精子凍結の方法(https://www.haramedical.or.jp/content/freeze/reservation)をご確認いただき、ご予約をおとりください。必要な提出書類についてもご確認ください。

凍結精子を使用するとき|MtFのための精子凍結

国内での凍結精子の使用は、婚姻関係にある夫婦間の不妊治療のみ認められています。婚姻関係のない第三者に凍結精子を使用することや、譲渡することはできません。

性別変更しない場合

戸籍上男性のままで、生物学上の女性と結婚(同居の事実婚も含む)をした場合は、不妊治療を実施することができます。精子を使用した不妊治療を開始する際には、妻の初診予約をお取りください

性別変更する場合

MTFの方が性別変更をして戸籍上で女性となり、パートナーが生物学上の女性の場合、つまり、女性同士のカップルの場合、当院の独自ガイドラインに基づき、体外受精を実施できる場合があります。当院では、生まれる子どもの福祉を最優先にしたガイドラインを整備しており、倫理委員会の承認を得るまでに準備に約1年の時間がかかる見込みです。まずは、自身の精子を凍結した性別変更後の女性と生物学的女性カップルにおける 生殖補助医療ガイドライン をご確認ください。また、この事例に関連する朝日新聞の記事も参考にしてください。

パートナーが男性の場合

MtF前に凍結したご自身の凍結精子を生かす方法となる生殖医療は、当院を含め国内では実施できません。海外で卵子と子宮の提供を受ける方法はありますが、倫理的な課題があります。

4.病気治療による精子凍結について

抗がん剤治療で精子に影響が出る場合、治療前に精子を凍結保存できます。治療施設と連携した精子凍結が可能な医療機関を紹介してもらってください。自治体には、妊孕性温存療法の助成制度もあるので、詳細を確認してください。東京都の場合、助成事業については「東京都若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業」をご覧ください。なお、当院では、病気治療による医学的精子凍結は行っていません。

5.費用・凍結の更新・他施設への移送

精子凍結の費用

精子凍結の費用は、1アンプル(1本)11,880円(税込)です。凍結期間は1年間です。更新する場合も同様の費用がかかり、1アンプル11,880円/1年となります。

精子凍結の更新方法

凍結更新の時期

凍結精子は1年ごとに更新手続きが必要です。更新の期限は、凍結した月の月末までです。例えば、2025年7月15日に精子凍結を実施した場合、更新期限は翌年の7月31日までです。毎年、期限内に更新手続きを行ってください。破棄する場合も手続きが必要です。

凍結更新の手続き方法

  • 【継続希望の場合】
    精子凍結保存継続依頼書に記入し、自署の上、原本を当院に郵送してください。海外に転居した場合も、原本を郵送する必要があります。生殖補助医療は生命倫理の観点から、電子署名の有効性が限られているためです。また、凍結精子の更新費用をお振込みいただきます。
  • 【一部or全て破棄する場合】
    精子破棄処分依頼書に記入し、自署の上、原本を当院に郵送してください。

精子凍結の上限年齢

精子凍結は、学会の規定により生殖年齢までと定められており、当院では65歳まで(66歳の誕生日の前日まで)です。また、精子の所有者が亡くなった場合、その凍結精子は破棄され、所有者の配偶者や家族が使用や保管することはできません。

凍結精子の他施設への移送について

凍結精子は、移送先の医療機関の許可があれば、移送が可能です。希望される施設に事前に許可を取っていただき、移送依頼フォームに必要事項を記入の上、当院までご連絡ください。