不妊症・男性不妊・人工授精・体外受精・胚移植・AID・精子バンク等の不妊治療・不妊専門クリニック。

無精子症・FtMのための提供精子によるAID・IVF-D治療

不妊症の検査・治療

無精子症や、トランスジェンダー男性とのご夫婦で、「子どもをもてない」と悩んでいる方もいるかもしれません。しかし、夫に精子がない場合でも、第三者の精子を用いた人工授精(AID)や体外受精(IVF-D)で妊娠・出産を目指すことができます。

このページでは、AID・IVF-Dの対象者、治療の流れ、費用、精子ドナー、出自を知る権利について詳しく説明します。

目次
  1. 提供精子治療の【対象者】
  2. まずは【AID・IVF-D勉強会】に参加
  3. 当院で治療をうける【条件】
  4. AIDとIVF-Dの基礎知識
  5. 治療開始までの流れ
  6. 出自を知る権利について
  7. 治療にかかる費用
  8. 妊娠・出産したら
  9. 精子提供者(ドナー)について
  10. 提供精子を用いた治療のFAQ

1.提供精子治療の【対象者】

以下のいずれかに該当する法律婚の夫婦が対象

◆夫が無精子であり、第三者の提供精子以外では妻が妊娠できないご夫婦

◆トランスジェンダー男性(FtM)とシスジェンダー女性のご夫婦

Q.なぜ、事実婚・同性カップル・独身女性は、対象にならないの?

A. その理由は、「生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律」において、本治療で生まれる子どもの立場が法的に保障されるのは、法律婚の夫婦に限られているためです。

2.まずは【AID・IVF-D勉強会】に参加

第三者の提供精子を用いた治療について詳しく知りたい方、また当院での治療を検討している方は、まずは【AID・IVF-D勉強会】にご参加ください。

この勉強会は、当院での治療をすすめるものではなく、倫理的に難しい側面もあるこの治療について、夫婦が十分に検討できるよう、正確な情報を提供することを目的としています。

勉強会は原則として偶数月の第三木曜日に実施しており、毎回80人〜100人の方が全国から参加されています。お申し込みは、以下のバナーをタップしてください。

3.当院で治療をうける条件

当院が提供する第三者提供精子によるAID・IVF-D治療の内容や条件は、すべて当院のガイドラインに記載されています。詳細はガイドラインをご確認ください。

夫婦が当院で精子提供による生殖補助医療をうけるためには、(1)~(13)の全てを満たしている必要があります。

(1)日本国籍を有する国内外に居住する日本人で、公的書類(住民票など)により夫婦の現住所を証明できること。また、日本国籍を有していない場合は、日本国の住民票により現居住地が日本国内にあることを証明できること。

(2)法的に婚姻していることが確認できる夫婦。

(3)年齢の条件は次の通りとする。夫婦のどちらかが制限年齢に達した時点で治療は終了します。治療継続中、凍結胚がある場合でも同様です。

女性男性
初診来院日41歳まで(42歳の誕生日の前日まで)47歳まで(48歳の誕生日の前日まで)
初回AID実施日42歳まで(43歳の誕生日の前日まで)48歳まで(49歳の誕生日の前日まで)
初回IVF-D採卵日42歳まで(43歳の誕生日の前日まで)48歳まで(49歳の誕生日の前日まで)
最終治療可能日44歳まで(45歳の誕生日の前日まで)50歳まで(51歳の誕生日の前日まで)

(4)精子の提供を受けなければ妊娠できない医学上の理由がある場合

  • 精子が存在しない、または、精子に受精能力がないことを明確に判断できる場合
  • 精子に受精能力がないことを明確に判断できないが、推定される場合

上記の精子の状態については、担当医にご記入いただく「精子提供による生殖補助医療の医療情報提供書」を基に当院にて判断します。

(5)夫婦ともに既往歴や現在治療中の疾患は、当院の医師に診察の際伝えること。女性はBMIが30未満であること

(6)無精子症であることを受容している夫婦であること

(7)第三者の精子提供により家族を形成すること、また、AID・IVF-Dの治療方法を肯定的に受容している夫婦であること

(8)出自を知ることは生まれてくる子どもにとって基本的な権利であり、親から子どもへの告知は当然必要なことであると自ら考えている夫婦であること。

(9)妊娠中から告知の準備や練習をはじめ、子どもが生まれたらすぐに告知を開始することの重要性が理解できる夫婦であること。子どもが3〜4歳頃には出自に関して一定の理解を持つことが出来るようになり、6歳までには精子提供で生まれた事実を自覚できることを目標に、告知を進めることを約束できること。*定型発達をしないお子様もいるので、この方法で進めてみて難しいケースはその都度ご相談ください。

(10)子どもが自らの出自を肯定的に捉えながら成⻑出来る環境を事前に整えるため、第三者の精子提供で家族をつくることや、告知をしながら育児することへの理解と同意を、子どもと夫婦にとって身近な家族から得られていること。

(11)当院の倫理委員会にて精子提供による生殖補助医療を実施する承認を得られた夫婦

(12)夫婦の夫は、最新の情報に更新された運転免許証あるいはマイナンバーカードを有しており、AIDとIVF-D胚移植の度にeKYC(オンライン本人確認)を実施できること。

(13)妻側に、加齢以外を原因とする体外受精を受ける医学上の理由がある場合

  1. 女性に体外受精を受ける医学上の理由として、AIDを3回以上実施したが、出産に至っていない方。
  2. 過去1年以内のAMHが1.0未満(複数回分ある場合は最も値が低いものを採用)、片側卵管 閉塞(切除)、女性の年齢が40歳以上、両側卵管閉塞(切除)のうちいずれか1つ以上に該当し、医師が体外受精が必要と判断する方は、体外受精に進む際にAIDの回数要件はありません。
トランス男性ご夫婦の条件
トランスジェンダー男性とシスジェンダー女性のご夫婦については、以下の①~⑦の条件も適用されます。(クリックすると表示されます)

① 治療を実施する医療機関として、当院が配慮すべき子どもの出自を知る権利は、「精子提供による出自」の部分です。そのため、精子提供で生まれたことを告知することは当然必要なことだと考える夫婦を治療の対象とします。

②なぜ夫に精子がないのかについては、がんなどの病気、事故、先天的な要因、トランスジェンダーなど、様々な理由があります。これは夫本人の物語であり、「誰に話すか」「話さないか」「いつ話すか」を決める権利は夫自身にあります。
精子提供による出自について、子どものための安全な告知ができていれば、子どもが後から夫の事情を知った場合でも、子どものアイデンティティが崩壊するという事態にまで至る可能性は低いと考えています。なお、どの家族にもそれぞれの事情があり、その事情について子どもにどこまで知る権利があるのかを、当院は判断する立場にありません。

③子どもは、なぜ父親に精子がないのかを知りたがるかもしれません。また、物心がついてから知ることで衝撃を受けるかもしれません。このような可能性が少なからずあることを踏まえ、当院は、夫本人が子どもに安全にカミングアウトできる支援が重要と考えています。ただし、当院がカミングアウトを強制することは決してありません。

④夫がトランスジェンダーであることについて、当面の間、子どもにカミングアウトしない場合は、それを子どもに知られることを避けるために、精子提供について「子どもに告知しない」、あるいは、「告知を先送りする」ことにならないような告知計画を具体的に考えてください。

⑤入浴やプールの着替えなど、日常生活の中で、父親の外性器の形について子どもが疑問を持つ可能性があります。そのような場面では子どもに対してどのように対応するのか、夫婦は具体的な方法の検討が必要です。

⑥子どもへのカミングアウトをしない場合、または将来的にカミングアウトを行う場合、その期間における父親と子どもの触れ合いにおいて、真実を知られることへの不安から子どもとの関係が疎遠にならないよう、夫婦の具体的な行動指針の検討が必要です。
「子どもに聞かれたら話す」とお考えになるご夫婦もいますが、子どもは家族に何か秘密があると感じても、親には聞けない場合が多く、それは結果として親子関係を疎遠にする要因となります。このような事態を防ぐため、夫婦が考える具体的な対応方法についてカウンセリングで確認します。

⑦将来、子どもへカミングアウトする場合の伝え方について、カウンセリングにて確認し支援します。
子育てをしているトランスジェンダー男性とシス女性のご夫婦から、子どもにトランスジェンダーであることを知られずに子育てすることは不可能に近いという体験談を伺っています。「言わなければ知られない」「子どもは気付かないだろう」という考えは、実際には楽観的かもしれません。

4.AIDとIVF-Dの基礎知識

提供精子を用いた不妊治療には、AID(人工授精)と体外受精(IVF-D)の2つの方法があります。

AIDIVF-D
方法人工授精体外受精
妊娠率約4~9%約40%
提供精子匿名非匿名
費用93,500円/1回方法に応じて変動。採卵から胚移植1回目までの合計は約45万~80万円

4-1 AIDとは?

AID(Artificial Insemination by Donor)は、第三者から提供された精子を用いて行う人工授精です。

<AIDの流れ>

  1. 月経10〜12日目頃、超音波検査などで排卵日を確認し、AID実施日を決定
  2. AID当日、凍結していた提供精子を融解し、妻の子宮内に注入。必要に応じて薬を処方
  3. 月経予定日を過ぎてから妊娠判定を行う

4-2 IVF-Dとは?

IVF-D(In Vitro Fertilization with Donor sperm)とは、提供精子を用いた体外受精です。AIDと異なり、体内ではなく体外で受精を行うため、受精卵を確実に子宮に移植することができることから、妊娠率が高いのが特徴です。

<IVF-Dの流れ>

  1. 月経2・3日目に来院。血液検査と超音波検査を実施し、卵巣刺激方法とスケジュールを決定
  2. 月経9~11日目頃、再度、血液検査・超音波検査を行い、採卵日を決定。卵胞の発育が不十分な場合は再来院
  3. 採卵日の2日前の夜、LHサージの投薬
  4. 採卵日当日。採卵手術を行い、採取した卵子と提供精子を受精させ、受精卵を培養
  5. 胚移植。新鮮胚を当周期に移植する場合と、凍結融解胚を翌月以降に移植する場合がある
  6. 胚移植から10日後に血液検査にて妊娠判定を行う

5.治療開始までの流れ

治療開始までにご夫婦に実施していただくのは、次の9つのステップです。進めるスピードはご夫婦のご都合に合わせていただけます。当院では、特に期限は設けておりません。

  1. 【はじめてのAID・IVF-D勉強会】に参加する
  2. 初診登録をする
  3. 書類の提出
  4. 初診予約をとる
  5. 初診に2人で来院する
  6. 夫婦で学習する
  7. カウンセリングを実施する
  8. 倫理委員会へ申請
  9. 治療の開始

5-1.【はじめてのAID・IVF-D勉強会】に参加する

当院でAID・IVF-Dを検討するご夫婦は、必ず「はじめてのAID・IVF-D勉強会」にご参加ください。

5-2.初診登録をする

勉強会に参加された方に[初診登録]を行うためのURLを配信します。当院での治療を希望する場合は、必要事項を入力して初診登録を行ってください。

5-3.書類の提出

初診登録後、当院より提出が必要な書類についてメールでご連絡いたしますので、内容をご確認の上、書類をご提出ください。提出期限は設けておりません。

提出書類を先に知りたい方へ(クリックで表示)

①夫は、精子提供による生殖補助医療の医療情報提供書【男性用】
②妻は、AID・採卵・胚移植のいずれかを行っている場合、あるいは、片側卵管閉塞・両側卵管閉塞の場合は、精子提供による生殖補助医療の医療情報提供書【女性用】
精子提供による生殖補助医療を受けるための申請書
④法的に婚姻を確認できる発行から3か月以内の公的書類(日本人の場合は戸籍謄本)、夫婦が同じ国籍の場合は書類は1枚。夫婦が異なる国籍の場合はそれぞれの母国での書類1枚ずつ計2枚必要。日本語・英語・中国語以外の書類の場合は、翻訳機関にて日本語か英語への翻訳を行い、原本と一緒に提出。 
⑤夫婦それぞれの顔写真付き身分証明証のカラーコピーを夫婦それぞれ1枚計2枚
⑥3か月以内の住民票。海外に居住している方はお電話にてお問合せください。
⑦女性から男性に性別変更をされた方は、変更前の性別が記載された公的書類(①の提出は不要)

5-4.初診予約をとる

5-5.初診に2人で来院する

提出書類に不備がない場合、当院から初診予約用のURLをメールでお送りします。利用登録後、ご都合に合わせて初診日をご予約ください。

持ち物

初診の実施内容

  • 治療の説明
  • 学習資料のお渡し
  • 医師の診察
  • 検査
    <妻の検査>HBs抗原、HCV抗体、RPR、TP抗体、風疹HI抗体、クラミジアPCR、TSH、FT4、HIV、HTLV-1抗体(PA)、AMH *1年以内に実施した他院の検査結果がある場合は適用できますのでお持ちください。
    <夫の検査>血液型検査(AIDを実施する施設で血液型を検査する必要があるため)

5-6. 夫婦で学習する

夫婦が提供精子医療の特性を理解し、生まれる子どもの福祉を大切にできるように、学習プログラムを用意しています。

■書籍

①AID 家族になるということ(著者:すまいる親の会)

②AIDで生まれるということ 精子提供で生まれた子どもたちの声(著者:非配偶者間人工授精で生まれた人の自助グループDOG: DI Offspring Group, 長沖 暁子)

③大好きなあなただから、真実を話しておきたくて 精子・卵子・胚の提供により生まれたことを子どもに話すための親向けガイド(著者:オリビア モンツチ 翻訳:才村 眞理)

■動画

AIDで授かる子どもと幸せな家族を築く(社会福祉士:才村眞理先生)

■ワークシート

5-7.カウンセリングを実施する

ご夫婦での学習とワークシートの記入が終わりましたら、カウンセリングのご予約をお取りください。カウンセリング実施にあたり、以下の2点の書類を、カウンセリング実施日の2日前までに当院に到着するようお送りください。

  1. ワークシート(初診日に配布)
  2. 精子提供による生殖補助医療の同意書

なお、カウンセリングの回数はご夫婦によって異なります。1回で終了する場合もあれば、数回にわたって実施することもあります。

5-8.倫理委員会へ申請

ご提出いただいた書類およびカウンセリング記録をもとに、当院から倫理委員会への申請を行います。倫理委員会での審議結果は、カウンセリング実施日から21日以内に、事務局よりご夫婦宛にメールまたは文書で通知いたします。承認の場合は治療へ進みます。非承認の場合は治療に進むことはできず終了となります。

5-9.治療の開始

倫理委員会で承認され、当院から結果の連絡を受けた後、提供精子を用いたAID・IVF-Dの治療が始まります。治療開始後の流れやスケジュールについては以下をご参照ください。

6.出自を知る権利について

当院が最も大切にしていることは、生まれる子どもの権利と福祉です。そのため、当院は日本で唯一、子どもの出自を知る権利を優先した仕組みを持つ医療機関です。

     AID     IVF-D
ドナーの匿名性     匿名     非匿名
ドナーの身長・体重、簡単な体の特徴、職業、趣味、血液型、精子提供する理由  妊娠後の夫婦に開示  妊娠後の夫婦に開示
精子提供者の3親等以内の病歴  妊娠後の夫婦に開示  妊娠後の夫婦に開示
18歳以上の子どもとドナーの接触     不可能     可能
子どもの近親婚を回避するための確認     可能     可能

7.治療にかかる費用

初診にかかる費用や、治療にかかる費用は、こちらをご覧ください。

8.妊娠・出産したら

8-1.妊娠卒業後面談

妊娠9週〜20週の間に「妊娠卒業面談」を実施します。この面談では、お子さんの精子提供者に関する情報(身長、体重、体の特徴、血液型、趣味、職業、精子提供の理由、親のルーツ、病歴など)をお伝えします。

また、事前にご提出いただいた「告知計画書」を基に、提供者情報を踏まえたお子さんへの伝え方について具体的にサポートします。ご夫婦が安心して出産を迎えられるよう支援いたします。

8-2. 絵本作成会

提供精子でお子さんを授かった親にとって、テリング(告知)は「大事だとわかってはいるけれど、難しい。大きなハードルに感じる」のが現実です。そこで当院では、そうした悩みに寄り添いながら、子どものための安全なテリング支援の一環として年に1回、絵本作成会を開催しています。

▶詳しくは、【絵本作成会とは】をご覧ください

8-3. 親子会

「親子会」は、子どもたちとその家族が共に成長し、支え合うための大切な場です。親にとっては、子育てに関する情報を共有し、他の親との交流を通じて気分転換する場所でもあります。子どもたちにとっては、友達とのつながりを感じ、新しい経験を積む場所です。

▶詳しくは、【親子会とは】をご覧ください

8-4. ありがとうのメッセージ

AID・IVF-Dでお子さんが誕生したら、精子提供者(ドナー)さんにメッセージをお送りいただくことができます。

▶ご夫婦から精子ドナーへのメッセージ

9.精子提供者(ドナー)について

精子提供による生殖補助医療は、精子提供者があってはじめて成り立つ医療です。提供者は、ご夫婦のこれまでの苦労や、子どもをもちたいという気持ちを理解し、協力してくださる人たちです。

精子提供の平均年齢は34.2歳、スクリーニング検査は精液検査、DFI検査、感染症、染色体検査、心理検査(MMPI-3)、面談、家族歴と多いこともあり、ドナー採用率は約31%です(応募者の約7割は検査や面談により非採用)。精子提供者の条件などの詳しい内容は「精子提供」という説明PDFをご覧ください。

▶ドナーインタビュー【スズキさん】ドナーが語る、精子提供における医療機関の役割

▶ドナーインタビュー【ヤマダさん】精子提供ドナーが感じた、AIDの社会的イメージとリアル

10.提供精子を用いた治療のFAQ

FAQの目次

  1. 予約について
  2. トランス男性(FtM)の治療
  3. 実施までの期間
  4. ドナーについて

1.予約について

Q.最初に何をすればいいですか?

A. まずは【はじめてのAID・IVF-D勉強会】にご参加ください。

Q.初診予約はすぐに取れますか?

A. 土曜日は混雑しており、1か月ほど先になる場合があります。平日であれば比較的早めにご予約いただけます。

2. トランス男性(FtM)の治療

Q.トランス男性(FtM)の夫婦は、提供精子を用いた治療を受けられますか?

A. はい。トランス男性とシスジェンダー女性の法律婚のご夫婦は、治療を受けることができます。

Q.心は男性ですが身体は女性です。自分の卵子を凍結し、提供精子で受精させ、パートナーの女性の子宮に移植することは可能ですか?

A. いいえ。日本ではそのような治療方法は認められていません。

3. 実施までの期間

Q. 初診から治療開始まで、どのくらいかかりますか?

A. ご夫婦の進め方によって異なります。カウンセリングは混み合っており、1〜2か月お待ちいただく場合があります。カウンセリング実施後、倫理委員会の審査結果が出るまでに約21日かかります。

Q. 倫理委員会で承認された後、AID治療まではどのくらいかかりますか?

A. 承認後はすぐにAID治療を開始できます。

Q. IVF-D治療までは、どのくらいかかりますか?

A. 倫理委員会で承認された後、偶数月の第一土曜日に開催しているIVF-D説明会にご夫婦でご参加いただきます。ご予約は診療予約システムから「説明会・勉強会」→「IVF-D説明会」でお取りいただけます。説明会では、詳しいスケジュールについてご案内します。IVF-D治療までの期間は、ソーシャルワーカー面談の予約状況に最も影響されます。面談の予約開始日は説明会内でお知らせします。面談予約は先着順です。

4. ドナーについて

Q. 夫の血液型とドナーの血液型を一致させることはできますか?

A. はい、可能です。

Q. 第一子と第二子で、同じドナーを選ぶことはできますか?

A. AIDではできません。医療機関がマッチングできるのは血液型のみだからです。ただし、IVF-Dの場合は1回の採卵で複数の受精卵が得られるため、第一子妊娠時の凍結胚を第二子に用いることで、結果的に同じドナーとなります。

Q. 親族・親戚・友人など、知っている人の精子を使うことはできますか?

A. できません。日本産科婦人科学会の会告により、既知のドナー(ご夫婦が知っている人物)の精子提供は禁止されています。ドナー本人やその家族に対して、平等な合意形成に課題があることや、家族関係が複雑化する場合があるためです。

Q. 海外精子バンクの精子を使用することはできますか?

A. できません。当院では、当院の精子バンクのドナー精子のみを使用しています。

Q. 1人のドナーから何人まで子どもが生まれますか?

A. 日本産科婦人科学会では、1人のドナーから生まれる子どもの人数を10人以内と定めています。当院ではこれを厳密に管理し、多胎妊娠を除き、8人までとしています。

Q.ドナーの条件は、2022年1月のガイドライン改定により変更されたと思います。上の子はそれ以前のドナーさんなので、当時の条件を教えてください。

A. ガイドラインは、2022年1月16日に大幅に改定し、ドナーの自由な意思で匿名か非匿名かを選択できるようになりました。それ以前の、匿名に限定していた頃のドナー条件などは、以下の通りです。

ガイドライン改定前のドナー条件(クリックして表示)

(1)健康青年男子であること。

・未婚であること。

・年齢は20歳から27歳まで。

・適正身長、適正体重。

・たばこを吸わない。麻薬等の経験がない。

・輸血を伴う手術を受けたことがない。

・感染症、性病の既往症がない。

(2)医学部在学中であること。

・遺伝に伴う疾患に関し充分な知識があること。

・倫理的、社会的配慮に関してしっかりとした意見がある。

(3)精神的に安定していること。

・規定の心理テストを受けること。

・院長の面接を受けること。

(4)次の検査がすべて陰性であること。

  • B型肝炎C型肝炎エイズ検査(HIV1/2)梅毒HTLV1ATLクラミジア検査
※上記の検査は6カ月毎に継続的に実施しています。

(5)将来のお子様の安全のために癌遺伝子に異常のないこと。

・α1一アンチトリプシン

(6)精子所見が良好であること。

・精子所見がWHOの基準を満たしていること。

■補足説明

上記条件を満たすため、HIVを含む感染症の検査、および心理テストを実施しています。 健康男子青年で精子数はWHOの基準を満たしております。 但し、近親者の疾患、遺伝的問診票及び面接による申告の為、調査はしておりません。 提供された精子については6ヶ月間凍結保存し、再度精子提供者のHIVの抗体検査を実施し、陰性であった場合に限り当該精子をAIDに用います。

■選択方法

現在の段階では、御主人の血液型(ABO、Rh型)と同型の提供者を選択しております。 その他条件(身長、肌の色など)は、選択できません。

■提供者を知ることはできません

日本産科婦人科学会の規定により、AIDに使用する、精子の提供者を知ることはできません。 また、提供者も自身の精子がどのご夫婦に用いられたかを知ることはできません。

この規定により、AID実施者の知人・近親者を精子提供者とすることは出来ません。

関連リンク