子宮内膜スクラッチ
検査・治療
内膜スクラッチとは
内膜スクラッチとは、着床の前にわざと子宮内膜に小さな傷をつける方法です。傷をつけると、内膜は修復の過程でインターロイキンなどのサイトカインを分泌します。これらのサイトカインは傷を修復する上で分泌されるのですが、胚が着床する環境でも同様の因子が分泌され、着床の促進と免疫応答の正常化が多くの論文で報告されています。そこで、着床しやすい子宮環境を、子宮内膜に傷をつけることで故意的に作りだす方法を内膜スクラッチといいます。
効果
2003年のBrashらの試験では、胚移植をして妊娠しなかった患者134人のうち無作為に抽出した45人に対して全周期に内膜スクラッチを行った結果、着床率は28%、臨床妊娠率は67%、生児獲得率は49%となり、2倍に改善したと報告されている。(Fertil Steri 2003;79)
注意事項
本処置では子宮内腔の観察はできません。
詳細
内膜スクラッチの 種類 |
A: 子宮鏡下内膜スクラッチ | B: 単純内膜スクラッチ |
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それぞれの効果の違い | B: 単純内膜スクラッチよりも効果が高い
・ 子宮内洗浄により、子宮内環境改善効果も期待できるため ・ 子宮鏡下で行うため、直視下にスクラッチができるため |
A: 子宮鏡検査下内膜スクラッチより効果は低い |
効果の持続期間 | 約4ヶ月と考える
※持続時間に関する論文はなく臨床経験に基づく |
約2か月と考える
※持続時間に関する論文はなく臨床経験に基づく |
適用 | 体外受精の胚移植を4周期以内に予定されている方のみ | タイミング、人工授精、採卵、胚移植、お休み等の全て周期、かつ、ご希望のある方 |
実施条件 | ① 胚移植を4周期以内に予定していること
② 感染症検査を当院にて1年以内に実施 ③ 同周期は、周期開始から子宮鏡下内膜ス ク ラッチ実施日まで避妊すること ④ 実施2時間前までに食事を済ませること |
① 感染症検査を当院にて1年以内に実施 |
実施方法 | ・ 無麻酔で行う
・ 子宮内腔にブドウ糖液を注入し内腔を拡大しながら観察を行う |
・ 子宮鏡を使用せず行う
・ 最初に超音波で子宮内膜確認した後内膜 スクラッチを行う |
所用時間 | 5分~15分程度 | 5分程度 |
実施時期 | 胚移植周期以外で、かつ、妊娠の可能性のない周期の月経の出血終了後以降。
*子宮内膜がある程度肥厚している月経12日目以降が望ましい |
月経の出血終了後~排卵の2日前まで
1) 採卵と人工授精の場合はその2日前まで 2) 胚移植の場合は排卵日(ホルモン補充周期は月経14日目の論理上の排卵日)の2日前まで *単純内膜スクラッチは妊娠の可能性がある周期でも排卵前であれば可能 |
副作用 | 子宮穿孔 子宮スコープ挿入によりこの合併症をおこすことがある
出血 スコープ挿入時に出血し、2~3日続く場合がある その他 感染や癒着、その他予期せぬ副作用が起きる場合がある |
出血 2~3日出血が続く場合がある。出血が続く場合には、人工授精や胚移植は中止になることがある
その他 感染を起こす場合がある。 その他、予期せぬ副作用が起きる場合がある |
費用 | 18,000円(税別) | 10,000円(税別) |
変更・キャンセル料 | 予約日6日前の15時以降は8,000円(税別)がかかります。 | なし |
申込方法 | Webにてご予約ください。
予約項目は【42 子宮鏡下内膜スクラッチ(同意書赤)】です。
月経開始日を予想し、先の周期で予約することもできます。その場合は、検査の実施時期に十分お気をつけください。月経開始日が予想とずれた場合でも予約日の6日前の15時以降の変更・キャンセルは費用が発生します。
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Webにてご予約ください。
予約項目は【43 単純内膜スクラッチ】です |