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不妊治療で行なう注射について|種類やメリットをご紹介

検査・治療

不妊治療で行う自己注射とは

排卵誘発のための注射

不妊治療では「排卵誘発」といって、薬剤を使い必要なホルモンを補って卵胞を育てる治療を行うことがあります。排卵障害のある方や、体外受精における採卵周期で卵子を複数個採取したい方はこの「排卵誘発」を行っていただきます。
誘発剤は経口薬を使うことも出来ますが、この場合「低刺激」と呼ばれる誘発方法となり、育つ卵胞は少なくなります。一方「中刺激」や「高刺激」と呼ばれる誘発方法だと育つ卵胞の数は多くなりますが、誘発剤は注射によって投与する必要があります。
この誘発方法は、ご年齢・身体の状態・採卵をする場合の希望採取数などによって変わってきますので、医師との相談のうえ決定いたします。

自己注射とは

注射によって排卵誘発をする場合、病院で注射を打つか、自分で注射を打つ「自己注射」を選択することができます。排卵誘発の刺激が強いほど注射の回数は多くなりますので、病院で注射をする場合、患者様によっては毎日の通院が必要となります。そのため当院では頻繁な通院が難しい患者様には自己注射をおすすめしております。当院で自己注射を選択される場合、最初だけ手技の練習を行っていただく必要がありますが、注射のためだけの来院はなくすことができ、遠方の方や平日の通院が難しい方にはぜひ選択していただきたい方法です。

自己注射Q&A

どれくらいの頻度で打つのか

誘発方法や使用する薬剤によって変わりますが、ここでは採卵周期における中刺激と高刺激の場合の一例を紹介します。
※注射は排卵誘発のための注射とLHサージ誘起のための注射があります。LHサージ誘起は卵子を受精可能な状態に成熟させるために必要で、病院で注射をする方であっても採卵2日前の夜にご自身で注射をしていただきます

中刺激の場合

月経開始
1日目  
2日目  
3日目 採血
診察
注射
4日目 注射
5日目  
6日目 注射
7日目  
8日目 注射
9日目 診察
10日目 注射
11日目  
12日目 採卵
13日目  
14日目  

注射回数 5回
うち排卵誘発の注射 4回(赤いマーカー箇所)
LHサージ誘起の注射 1回(青いマーカー箇所)

高刺激の場合

月経開始
1日目  
2日目  
3日目 採血
診察
注射
4日目 注射
5日目 注射
6日目 注射
7日目 注射
8日目 注射
9日目 注射
10日目 診察
11日目 注射
12日目  
13日目 採卵
14日目  

注射回数 8回
うち排卵誘発の注射 7回(赤いマーカー箇所)
LHサージ誘起の注射 1回(青いマーカー箇所)

注射による副作用は?

「排卵誘発をしたために卵巣機能が低下した」という情報があるかもしれませんが、排卵誘発の注射によって卵巣機能が低下するということはありません。一般的に「誘発する」と聞くと卵巣を強引に働かせるイメージを持つ方もいらっしゃいますが、そうではなく、卵の成長を高める為に必要なホルモンの分泌を促したり補ったりすることを排卵誘発といいます。薬によって促されたホルモン分泌によって卵の育つかどうかは卵巣機能次第であり、薬が直接卵巣機能に影響を及ぼすことはりません。ただし、薬の副作用として5%以下の方に頭痛などの症状が見られることもあります。
昔は体外受精の技術が低かったため、たくさんの卵を採取しないと最終的に妊娠まで結びつかないと考えられており、必要以上の排卵誘発剤を使用していた歴史があります。また培養技術も今より劣っていたため着床率も低かったことから体外受精の不成功数が多く、結果的に大量の排卵誘発剤を数年間投与することとなり卵巣が誘発量に慣れてしまい、その誘発なしには機能しにくくなってしまった事例があったことは事実です。しかし、現在は、技術の進歩とともに着床率も延び、その人に合った適切な排卵誘発を行うことができるようになったので、その心配はありません。

自己注射の種類

hMG/rFSH注射(ゴナドトロピン製剤)

排卵誘発のための注射です。脳下垂体から分泌されるゴナドトロピン(FSH及びLH)の内FSHというホルモンによって、卵胞の発育は促されます。hMG/rFSH注射ではその薬剤にFSHが含まれているため、投与することでより多くの卵胞の発育を促すことができます。hMG/rFSH注射にはFSHの他にLHというホルモンも含まれています。hMG/rFSH注射の種類が多いのは、このFSHとLHの比率が製品によって違っておりそれぞれに特徴が異なるためです。経口薬で効果が認められない場合や複数の卵胞成長を期待する体外受精の場合に有効です。ただし卵巣過剰刺激によるOHSS(卵巣過剰刺激症候群)発症の可能性が経口薬と比較すると高いため、医師の適切な診察のもと薬剤の量の調整が必要となります。

筋肉注射皮下注射皮下注射
ペンタイプ
事前練習必要必要不要
注射部位太もも腹部腹部
薬品名の例HMG フジ uFSH フェリングゴナール F 皮下注用ゴナール F ペンタイプ

GnRHアンタゴニスト製剤

この製剤は、hMG/rFSH注射と一緒に使用する排卵誘発のための注射です。hMG/rFSH注射によって複数の卵胞が発育すると、卵胞の発育にばらつきが生じ、まだ小さい卵胞があるにも関わらず大きい卵胞は排卵に近づきます。脳下垂体から大量のLHというホルモンが分泌されるLHサージが起こると、小さな卵胞の発育を待つことなく大きな卵胞だけを採卵しなければならなくなります。このような場合に、LHを抑える作用があるGnRHアンタゴニスト製剤を併用することで、LHサージが起こることを抑制しながら小さな卵胞が充分に成熟するまで採卵を待つことができるので、成熟した質の高い卵胞をより多く採取することができます。また、排卵のコントロールが可能になるため、希望採卵日への調整がしやすくなります。
GnRHアンタゴニスト製剤は注射の他、経口薬もあります。

皮下注射
事前練習必要
注射部位腹部
薬品名の例セトロタイド

hCG注射

LHサージを起こすための注射です。hCG注射の薬剤にはLHが含まれているため、卵胞が18ミリ前後まで発育したところでhCG注射を打つことで意図的にLHサージを起こし、卵子を受精可能な状態に成熟させ排卵を促します。hCG注射をしてから排卵するまでの時間は36時間~40時間前後ですので、採卵2日前の22:00~22:30の間にhCG注射をします。hCG注射は2種類あり、多くはLHの純度の高いペンタイプの自己注射(オビドレル)を使用します。hCG注射は他に純度は低いが安価な筋肉注射もあります。注射が苦手な方などは点鼻薬を使う場合もあります。

皮下注射
ペンタイプ
筋肉注射
事前練習不要必要
注射部位腹部太もも
薬品名の例オビドレルHCG

【不妊治療】自身で注射を打つメリット

通院回数を少なくすることができるため、仕事と治療の両立がしやすくなります

不妊治療をしている人の半数以上は仕事をしながら治療を続けていますが、そのうち9割以上が「仕事と不妊治療の両立は困難」と感じています。その理由に「頻繁な通院が必要であること」があげられています。減らすことのできる通院は診察や採血の無い「注射だけの来院」です。自身で注射を打つことによって注射だけの来院をなくすことで、仕事との両立がしやすくなります。

経口薬や点鼻薬に比べて高い効果が期待できます。

来院して注射を打つことができない場合、自身で注射を打つか、経口薬又は点鼻薬で薬剤を投与します。経口薬や点鼻薬は注射に比べ身体に作用するまでに時間がかかったり、効果が薄くなってしまうため、なるべく注射で薬を投与することをおすすめします。

予約の必要がないため、自分のタイミングで注射を打つことができます。

病院で注射を打つためには予約が必要です。また、受付をしてから注射をするまでと注射をしてからお会計をするまでの待ち時間はどうしても発生してしまいます。誘発の注射に関しては決まった時間に打たなくてはいけないわけではないので、自己注射であれば空いた時間に好きなタイミングで注射をすることができます。

通院しなくていいため、移動の時間と費用がかかりません。

病院で注射をするとなると、月に何度も通院していただく必要があるため、その通院にかかる時間と費用は合算すると無視できないほどの量になると思われます。自己注射にすることで時間的、経済的負担を軽減することができます。

自身で注射を打つ際に注意していただきたいこと

  1. ペンタイプ以外の事前練習が必要な注射の場合、なるべく排卵誘発をする前の周期までに自己注射練習を受けてください。自己注射練習(40分/無料)はWeb予約サイトから予約可能です。
  2. 連日注射する場合には、針をさす場所を毎回少しずらしてください。同じ場所に連続して打つと組織が炎症を起こして敏感になってしまったり、皮膚が固くなって針が入りにくくなってしまうことがあるためです。
  3. 注射針を刺したとき、激痛や血液の逆流があった場合は直ちに針を抜き、部位を変えて注射してください。
  4. 薬剤によって保管方法が異なります。当院からの指示のを守って正しく保管してください。
  5. 投与期間中に吐き気、頻尿、しびれ、頭痛、むくみなど体調の変化が見られた場合は注射をためて当院までご連絡ください。